巨人戸郷翔征投手(23)は言った。

「すごくワクワクもしたし、勉強させられましたよ。いろんなことを考えさせられました」。2年連続の12勝でチーム勝ち頭となったシーズン。122人の打者と対峙(たいじ)した。1人の打者との対戦は特に印象的だった。「木浪さんですね」。阪神の38年ぶりとなる「アレのアレ」に大きく貢献した恐怖の8番打者だった。

「僕の対戦成績、悪かったでしょ」。たしかに対木浪は16打数9安打で被打率5割6分3厘だった。

「状況で待ち方も全然、違うんですよね。最初からセンターを狙ってくる時もあれば、ランナー一塁だったら、すぐ引っ張りにきたりとか。近本さんもそうですけど、一流のバッターは状況で待ち方が変わってくる。ツーストライクになってからの対応も一気に変わってくるし」

一塁に走者を置いた状況では4打数2安打。2ストライクとした後は12打数7安打だった。一方で、1度あった得点圏での対戦は空振り三振に仕留めていた。

打者が何を待っているか-。それを考えながら、ボールを選択する。18・44メートルの中で繰り広げられる勝負の駆け引き。木浪との対戦は一筋縄ではいかなかった分、学べることも多かった。次はどうしようかとワクワクもした。

もちろん、結果には満足できない。まだ23歳でありながら、もう結果を求められる立場にある。いろんなデータを頭に入れながら、アップデートしている。WBCでもダルビッシュや大谷が細かなデータを参考にする姿も目の当たりにしてきた。経験の中で得た成長のヒントを見つけながら、日々の練習に励む。19、20年は2年連続の9勝。21、22年は2年連続の12勝。またもう1段、進化のステップを踏んでいく。【巨人担当=上田悠太】

試合前の練習で談笑する戸郷(左)と木浪(2023年8月26日撮影)
試合前の練習で談笑する戸郷(左)と木浪(2023年8月26日撮影)