高蔵寺(こうぞうじ、愛知)の最速150キロ左腕、芹沢大地投手(3年)は、投球で空気を一変させる男だった。7月6日、愛知大会を取材するため岡崎レッドダイヤモンドスタジアムへ。バックネット裏は満席で、県立高ながら、世代屈指の逸材をひと目見ようと最後列には立ち見まで出た。2回戦の名古屋たちばな戦は、日米7球団のスカウトが視察した。
名古屋たちばなの初回の攻撃は1番萩迫裕貴内野手(1年)が、芹沢の初球を振り抜きファウル。この速球に「おー」の歓声が沸き上がり、表示されたスピードガンの「150」でまたドッと沸いた。「(歓声は)聞こえたけど、150キロが出ると思わなかった。びっくりした気持ちだった」。147キロの速球で押し、フルカウントから自己最速更新の151キロで見逃し三振に切る好スタート。「多くの観客の中で投げたのは初めてで、すごく緊張したが、自分の投球が出せた」。腰への不安もあり、この日は変化球も交えた。強豪相手に8回140球、12安打6失点で姿を消したが、インパクトは十分だった。
全国最多の出場チーム数を誇り、私学4強(中京大中京、愛工大名電、東邦、享栄)が力を誇る激戦区で名を挙げた。プロから高い評価を受けたが、卒業後の進路は社会人野球入りを表明した。より速球を生かすために、変化球の精度を高めることも目標に掲げた。
河原仁監督(50)はその成長に目を細めた。「(指導者として)正直幸せ者。彼がここまで成長したのは、周囲の仲間や保護者の方だったり、メディアの方に取り上げてもらって、本人がその気になって上を目指せた」。長い手足に加え、柔軟性のあるフォームが特長で伸びしろたっぷり。U18候補左腕が、次のステージでレベルアップする姿を楽しみにしたい。【中島麗】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)




