チーム戦術を貫いた。昌平が、初の決勝進出を決めた。

6-3の9回1死二塁。ドラフト候補で高校通算56発の吉野創士外野手(3年)が犠打で走者を三塁に進め、7点目につなげた。黒坂洋介監督(46)は「やるべきことをやる。吉野であっても、4番であっても送るところは送る。点を取るところは取る」と説明した。

エースは覚悟を貫いた。田村廉投手(3年)は、ピンチになると帽子のツバに書いた「気」の文字を見つめた。被安打12ながら4失点にまとめて完投。これまでは、重圧を感じるとマウンド上で過呼吸気味になることもあったが、悔しい経験を糧にした。「エースとして、チームを決勝に導きたいと思っていた。自分らしい投球ができて、気持ちで押すことができた」と、たくましい投球をみせた。

決勝で戦う浦和学院には、春の県大会準決勝で延長サヨナラ負けを喫した。その試合のスコアブックは手元に保管。マウンドで感じたことを書いたノートは、今でも見返して敗れた瞬間を思い出している。「悔しい負けをバネに頑張ってきた。最後の夏に、リベンジしたいです」。悲願の甲子園初出場へ-。チームを聖地に連れていく。【保坂恭子】