今年も交流戦の時期がやってきた。昨年は新型コロナウィルス感染症拡大により開幕が大幅に遅れたばかりか、交流戦は中止に追い込まれた。今年はいまだに感染症の影響はあるものの、2年ぶりの交流戦開催が目前に迫った。
交流戦を楽しみつつも、私たちは日本のプロ野球がこれからどこへ向かうのか考えてみることも大切だと考える。その中で、球界がたどってきた変遷を見ると、球界再編が球界に与えた影響はまだまだ見過ごせないほど大きい。
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日本プロ野球は広くファンに浸透することを目的として変化を遂げてきたが、それは当初の目的にそった道のりをたどってきたのだろうか。掲げた目的を目指したものの、実際に行動に移してみてはじめて予想外のことに遭遇することもある。思いがけない方向へ物事が流れ出してしまうことも珍しいことではない。
野茂がメジャーリーグへの扉を開けた時、日本人は本場でその力を証明する右腕に歓喜した。しかし、やがて野茂が開いた扉から、次々と日本プロ野球を代表する選手がメジャーリーグへ消えていくと、すぐに人材流出という危機に直面した。
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これからはじまる交流戦も、球界再編という大きなうねりの中で、セとパの交流を図ることがファンの望むものだとの着眼点から出発した。それが、今やセとパの実力の違いをまざまざと見せつける「格差」を証明する場となってしまった。
その格差の要因のひとつとしてDH制が注目を集めている。これは巨人がソフトバンクに2年連続で4連敗を喫したことに端を発しており、両リーグの格差を埋めるための手段としてセリーグのDH制導入を巨人が強く主張する現状にいたっている。
そしてこの現実として認めざるを得ないセとパの格差は、これからの球界にどんな発展、もしくは変化を与えるのか。
たえず進化をもとめるプロ野球にあって、私たちが過去の出来事から学べることは実にたくさんある。当初交流戦の中にファンが求めたものは、今はどう形を変えているのか。
セとパが白熱した戦いをすることがプロ野球の発展につながるのか、強いパを倒すためにセの各球団が創意工夫をすることが、プロ野球としてより高いレベルにたどりつけるのか。
角度を変えて眺めることで、球界再編を軸とした歴史の中から、私たちが学べる教訓もある。【井上真】
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