パドレス傘下3Aエルパソを自由契約となった秋山翔吾外野手(34)が広島入りを決断したことが26日、分かった。今季を含めた3年総額5億円規模の契約とみられる。20日に米国から帰国し、古巣西武、ソフトバンクを含む3球団と交渉。熟考の末、新たな環境となるセ・リーグでのプレーを選んだ。

   ◇   ◇

秋山が、新天地を広島に決めた。決断の最大のポイントは、「プレーヤー秋山翔吾」への評価だった。球界関係者によると、広島から提示された契約期間は今季を含めた3年。今年34歳を迎えた秋山にとって、今回の日本復帰にあたっての交渉では、いかに長くグラウンドに立てる可能性を示してくれるかが重要な要素だったという。

ソフトバンクからも同様に3年契約での提示を受けた模様。しかし、メジャーでプレーしたことで新しい環境で戦うことの魅力を実感し、セ・リーグで力を試してみたいという思いが勝ったとみられる。また古巣西武へは感謝は尽きず、恩返ししたい気持ちは強かったが、提示された契約年数が今シーズンを含めた2年だったことで、苦渋の決断に至ったようだ。

秋山はこの日、3球団に連絡を入れた模様で「新しいチームでまずポジションを勝ちとらないといけない。その上で結果を出して、ファンの方々に応援して頂ける選手になっていきたい」と決意を示した。

米国では不完全燃焼に終わっただけに覚悟は強い。19年オフに西武から海外FA権を行使してレッズに移籍。チーム初の日本人選手として期待されたが結果を残せなかった。コロナ禍や故障にも悩まされ、昨季までの2年間でメジャー通算打率2割2分4厘、0本塁打、21打点にとどまった。今季開幕直前にレ軍を戦力外となった後は、米国でのプレー継続を最優先に移籍先を模索。5月上旬にパドレスとマイナー契約を結び、メジャー昇格を目指した。しかし、パ軍との契約時に最終期限とした今月15日までに昇格を果たせず、日本復帰を決めていた。

秋山の日本での通算安打は、現在1405本(日米通算は1476本)。かねて口にしてきた2000安打という節目もある。そして来春には、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)という舞台も控える。くしくも、広島のチームカラーは、悔しさを味わったレッズと同じ。希代のヒットメーカーが、再び赤いユニホームに袖を通し、リスタートする。

◆秋山翔吾(あきやま・しょうご)1988年(昭63)4月16日生まれ。神奈川県出身。横浜創学館-八戸大を経て、10年ドラフト3位で西武入団。15年にプロ野球シーズン最多となる216安打。19年オフに海外FA権を行使してレッズへ移籍し、日本人初の同球団所属選手となった。NPBではベストナイン4度、ゴールデングラブ賞6度。183センチ、86キロ。右投げ左打ち。

◆日本人大リーガーが古巣以外に復帰 渡米前と違う球団に戻る例は珍しくないが、西武出身の過去4選手は松井稼頭央→楽天、松坂大輔→ソフトバンク、中島裕之(現宏之=公式戦出場なし)→オリックス、牧田和久→楽天と、いずれも他球団に戻っている。