井之脇海が語る舞台の魅力「空間と一体化する感覚を味わいたい」

注目の人、話題のこと。もっと知りたい、もっと読みたい。その思いをかなえます-。映画初主演、NHK連続テレビ小説出演に続き舞台初主演の井之脇海。緊張を追い払う稽古とは。

ストーリーズ

小林千穂

俳優井之脇海(26)が、3人芝居「エレファントソング」(5月4~22日、東京・パルコ劇場)で舞台初主演する。映画、ドラマなど映像分野を中心に活躍している井之脇にとっては3年ぶりの舞台となる。ミステリー要素のある会話劇で、膨大なせりふ量、複雑で繊細な表現など、挑戦の壁は高いが、演技者としてステップアップできることを信じて挑む。

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舞台初主演に井之脇は「がむしゃらにやるしかない」と話した。昨年は「ミュジコフィリア」で映画初主演し、今年はNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」(月~土曜午前8時)に出演するなど、「いい流れがきていると実感している」中での舞台オファーだった。

「3人芝居があると聞いて、主演ということは知らなかったんですが、3人という少人数での会話劇なら、芝居もステップアップできるのではと思い、やってみたいなと思いました。その後、作品が『エレファント-』だと聞き、うれしさがありました」と振り返った。

03年にカナダ・モントリオールで初演された舞台で、14年には舞台と同じく、グザヴィエ・ドランが主演して映画化もされた。ある病院に入院する青年マイケルが、失踪した医師を探す院長と看護師を相手に、虚実判然としない話をして翻弄(ほんろう)する。ミステリーでもあり、愛の物語でもある。

演出の宮田慶子氏には、映画を見ないように言われたそうだが、大学で映画を学んでいた井之脇は「大学時代、友達の家で見たのかな。出演が決まってあらためて見てしまってました」と笑った。その上で「やってやるぞ、じゃないですが、自分なりのマイケルをつくれたらいいなと思いました」と言う。

舞台「エレファント・ソング」の稽古風景。井之脇海(手前)と寺脇康文

舞台「エレファント・ソング」の稽古風景。井之脇海(手前)と寺脇康文

共演は寺脇康文、ほりすみこ。舞台経験豊富な2人について「ぶつかっていけばきっと受け止めてくださる。安心感、信頼感があるので、こんなにうれしく、幸せなことはないです。寺脇さんは『脇脇コンビで頑張ろう』と言ってくださいました」と話す。気負いはない。「一番若手ですし、座長だからこそ、一番稽古頑張ります! 先輩に気を利いた言葉を掛けることができないかもしれないですが、芝居に取り組む姿勢で、みんなが同じ方向に行けるようになれたらいいなと思っています」と語った。

舞台は3年前に出演した「CITY」以来となる。「舞台を踏みしめて立って、声を発して役を演じているという、当たり前のことなんですが、それがすごく気持ち良かったんです。空間と一体化する感覚が3年前の舞台にあったので、今回もぜひ味わいたいです」と話す。

俳優として感じる舞台ならではの魅力も語った。「舞台で流れる時間は生ですが、稽古をしっかり1カ月した上で本番に臨めるのが魅力だと思います。しっかりと丁寧に役をつくることができるのは、芝居をやる上で、1人の人間を深めて極めることができる。役と癒着して、境目がなくなっていくことを味わいやすい空間なのかなと思っています」。

「緊張するタイプ」と言うが、前回の舞台の時も稽古が緊張を追い払った。「僕は稽古が好きですし、1日でも1秒でも長くやりたい。心配事がないぐらい追い込めたら大丈夫だと思います」と、自信を見せた。

井之脇海(2022年3月撮影)

井之脇海(2022年3月撮影)

趣味は登山「体力は自信あります」

○…演出の宮田氏に「体力だけは自信があります」と宣言したという。「寝るのは好きですし、体調は崩さずに走りきれるかなと思います」と話す。趣味は登山。今年も年明けに八ケ岳に行った。「今年はなかなか長い休みが取れなさそうなんですが、北アルプスに行きたいですね。槍ケ岳に行ってみたいです」と希望を語った。

◆井之脇海(いのわき・かい) 1995年(平7)11月24日、神奈川県生まれ。子役として活動し、16年にユマニテに所属。ドラマはNHK連続テレビ小説「ひよっこ」、NHK大河「おんな城主 直虎」、日本テレビ系「義母と娘のブルース」など、映画は「ザ・ファブル」シリーズ、「とんび」(公開中)など。178センチ。

◆エレファント・ソング 精神科のローレンス医師が失踪した。行方を捜すグリーンバーグ院長(寺脇康文)は、最後に会ったと思われる患者マイケル(井之脇海)と面談するが、マイケルが話す内容は、何が真実でうそなのかが分からない。看護師のピーターソン(ほりすみこ)も2人の面談を気にしている。カナダの作家ニコラス・ビヨンによって書かれた作品。5月4~22日のパルコ劇場での東京公演のほか、同25日は愛知・刈谷市総合文化センターで、同28日は大阪・COOL JAPAN PARK OSAKAで公演。