公開競技のeスポーツで人気サッカーゲーム「ウイニングイレブン」が行われ、日本代表が金メダルを獲得した。杉村直紀(21、プレーヤーネームはSOFIA)と相原翼(18、同レバ)のコンビは、1次リーグB組を3戦全勝で突破し、準決勝でマレーシア、決勝でイランを下した。eスポーツは22年大会では正式種目となる予定で、24年パリ・オリンピックでは追加種目になる可能性もある。
初代王者をたぐり寄せるゴールを決めると、相原はシャツ左袖に刺しゅうされた日の丸をつかみ、観客をあおった。勝った方が金メダルの第3試合。2-2の後半34分。左サイドから縦につなぎ、ゴール前にボールを運ぶと、相原は素早く、コントローラーの□ボタンを押した。放たれたシュートはGKをすり抜け、ネットを揺らした。ロスタイムはコーナーで有効に時間を使い、優勝を確定させると杉村と抱き合った。
表彰式では君が代が流れた。相原は「表彰台の一番上で聞く、国歌は違うものがありました」。感極まる母の首に金メダルを掛けた。なでしこ、男子サッカーに負けじとウイイレ代表も躍動。杉村は「俺らもという気持ちで挑んだ。最高の舞台で金メダルを取れてうれしい」と語った。
代表2人の素顔は普通の学生だ。ともに練習は毎日2、3時間、サッカーの経験もある。相原はネットで学ぶ通信制のN高3年。せんべいが好きで趣味は音楽鑑賞。ゲームは小3の時に父からを買ってもらい始めた。朝は教習所に通い、昼食後や高校の課題が終了した夜に練習に励む。杉村は5月のコナミ主催の世界大会(ドイツ)で優勝。ガンバ大阪ファンの近大4年生で、卒業後はゲーム系企業に就職を予定する。小3の頃、8歳上の兄潤一さんと一緒に遊んだのがきっかけでゲームが好きになった。普段は裸眼だが、ゲーム時は「いろんな所を見ないといけない」とメガネをする。
会場は大型スクリーンに映像が映し出され、実況や照明で盛り上がった。得点機を逃し頭を抱えたり、ブブゼラを吹いたりするサポーターもおり、雰囲気はまさに代表戦のパブリックビューイング。注目度は高まっている。杉村は「(今は)ウイニングイレブンのプロとして飯を食っていくことはできないが、今後はそういった道が広がっていけばいい」と今後の可能性に期待した。【上田悠太】
◆試合形式 2G先取制。第1Gは1対1で対決。第2Gは2人の操作によるチーム戦。第3Gは第1Gとは別のプレーヤーによる1対1で対戦する。使用するチームはバルセロナ、リバプール、アーセナルなど9チームの中から選択。両国が同じチームでは対戦できず、希望が重なった場合は、コイントスで決定。今大会は出場8カ国が2組に分かれて1次リーグを行い、各組上位2カ国が決勝トーナメントを戦う。
◆eスポーツ 「エレクトロニック・スポーツ」の略。コンピューター、ビデオを使った対戦ゲームの名称。アジア大会ではウイニングイレブンの他、カードを繰り出し合うゲーム「ハースストーン」など5種目が開催された。