20年東京五輪(オリンピック)・パラリンピックまで、あと2年となった。13年9月に招致が決まった時は「まだ7年も先か」と思ったものだが、もう目の前に来ている。平昌(ピョンチャン)五輪・パラリンピックが終われば「次」は東京だ。

 当初は「ビジョン」作りが主だった大会組織委員会の準備も、具体的なものが見えてきた。昨年12月には開閉会式の演出を担当するチームのメンバー8人が発表された。立候補段階から大幅に修正された競技会場も、自転車ロードのコースを除いて固まった。聖火リレーは3月末までに大まかな日程などが決定。4月からは各都道府県ごとにルートの検討が始まる。大会の「形」が見えてくる。

 22日に招集された今国会には、祝日法の改正案が提出される見込みだ。五輪が開幕する20年7月24日、その前日の23日、閉会式翌日の8月10日をそれぞれ祝日にする案。24日の開会式には、世界中から多くのVIPが出席する。23日は来日ラッシュ。同様に閉会式翌日の8月10日は離日ラッシュになるからだ。

 VIPの移動には大規模な交通規制が必要。選手や観客の出入国もある。渋滞によって通勤、通学や通常の経済活動が妨げられることは間違いない。祝日にして交通量を減らすことは、スムーズな大会運営のために不可欠だという。16年のリオデジャネイロ五輪でも会期中、土日のほかに祝日が4日設けられている。

 もっとも、祝日を増やすことには問題もある。日本の祝日は年間16日で、世界的に見ても多い。さらに、経済への影響も考慮しなければならない。そこで考えられたのが「祝日の移動」という力技だ。

建設中の新国立競技場(17年12月15日撮影)
建設中の新国立競技場(17年12月15日撮影)

 超党派のスポーツ議員連盟の案では10月第2月曜日(20年は12日)の「体育の日」を7月24日に、7月第3月曜日(同20日)の「海の日」を同23日に、8月11日の「山の日」を同10日に振り替える。もちろん、振り替えは20年だけだが、それぞれの祝日には制定された経緯もあり、移動するのは簡単ではない。

 時間はない。カレンダー制作会社などへの影響を考慮して、組織委員会の遠藤利明会長代行は「夏までには決めないといけない」と話す。すでに東京都議会は祝日化を求めてスポーツ議連の麻生太郎副総理兼財務相に要請文を提出。早期の法制化を求めている。

 20年大会を目指す選手たちも、代表争いが本格化。競技によっては今季からのポイントによって出場が決まるものもある。待ったなしの戦いが始まる。と同時に、舞台裏の動きも本格化してくる。祝日法の改正もその1つ。東京五輪・パラリンピックに向けて、日本が大きく動く。

 ◆荻島弘一 東京都出身、56歳。84年に入社し、整理部を経てスポーツ部勤務。サッカー、五輪などを担当し、96年からデスク。出版社編集長を経て、05年から編集委員として現場取材に戻る。