<全国高校バスケットボール選抜優勝大会:常葉学園87-61宇都宮文星女>◇女子1回戦◇23日◇東京体育館

 3年ぶり12度目出場の女子・常葉学園(静岡)が、宇都宮文星女(栃木)を破り好スタートを切った。第1クオーター(Q)で10点差をつけ、終始リードを保ちながら8点差で迎えた第4Qに連続ポイントで一気に突き放した。終盤には次々と選手交代し、1、2年生中心のチームが3年生5人でのプレーを演出する快勝だった。今日24日の2回戦で山形商と戦う。

 試合後、小前宏史監督(51)は語った。「県予選でも目いっぱいだったチームなのに、ずっと控えだった子を出せるようなゲームになって良かった」。その目は潤んでいた。第4Q残り3分を切って20点近く点差を広げると、続々と3年生が登場。唯一のレギュラー安田沙羅主将を中心に、さらに突き放して試合終了を迎えた。大舞台で苦楽を共にした仲間とプレー。安田は「後輩に感謝しています」と喜んだ。その目もやはり潤んでいた。

 頼れる後輩も満面の笑みだ。「いつも優しく支えてくれる先輩方が、このコートでプレーできてグッときました」とは2年生司令塔の北川佳穂。スタメン全員が身長170センチ以上の相手に対して常葉学園は1人だけと、高さで圧倒的な不利があった。それでも、全員で走り全員で跳ぶ、いつも通りのバスケを展開。北川は「誰かが走れていないと、点差が詰まった」と流れを感じ取り、必死に足を動かした。6点差まで詰め寄られた第2Qには、パスが流れたボールを拾って終了のブザーと同時にジャンプシュート。8点差に戻し後半につなげる好プレーを見せた。

 今日対戦する山形商は、大半が山口国体準優勝の山形県選抜メンバーだ。小前監督は「何十回やって1回勝てるか」と力を認める。それでも、安田は「明日もそういうチャンスに持っていけるように」と力を込めた。再び3年生だけでプレーしたい。目指すは大勝。上昇一途の全員バスケでぶつかっていく。【石原正二郎】