<世界柔道>◇25日◇女子63キロ級◇パリ・ベルシー体育館

 初めての世界選手権は、あまりにも短い結末だった。左腕を三角巾でつった阿部香菜(23=三井住友海上)は「何もしないまま終わっちゃった。悔しい気持ちでいっぱいです」と言葉をしぼり出した。

 1回戦のエスピノサ(キューバ)戦。開始23秒で有効を取られると、その40秒後だった。背負い投げをかけられた瞬間に思わず左腕をついた。「気が付いたら動かなかった」。ひじを脱臼。なんとか動かそうとしても、動かない。負傷棄権するしかなかった。

 東日本大震災で、宮城県石巻市の実家は1階が浸水。その中で、4月の選抜体重別を勝ち上がり、代表権を手にした。両親も駆けつけてくれたパリ。苦い思い出となってしまったが「まだまだ自分が弱かったということ。ケガを治し、次の大舞台に立てるように、しっかり結果を残したい」と前向きに話した。