柔道男子日本代表強化合宿に参加中の、100キロ超級テディ・リネール(フランス)が4日、都内で取材に応じ、世界選手権(8月・東京)出場についてコメントした。オリンピック(五輪)2連覇中のリネールは「あくまで目標は東京五輪で3連覇すること。今の状態では(世界選手権に)出場しないが、体と相談してどうしても出たくなったら出るかも」と含みを持たせた。

リオ五輪後、休養を宣言、8連覇中だった昨年の世界選手権を欠場した。4カ月前に練習を開始し、調子は40~50%。「国際大会に2年も出ていないのでまだまだ。他の選手に比べてゆっくり調整している。スケジュールは決まっていない。試合に出られる体になってから出場する」とあくまで東京五輪に向けた調整を第一に考え、世界選手権にはこだわらない。

自身が出場していないため、100キロ超級の構図も変わった。原沢ら強豪がひしめく中での争いとなるが「原沢だけでなく(五輪で)優勝できる強い選手がたくさんいる。準備をしっかりして挑む」と話す。東京五輪の後には地元フランスでのパリ五輪も視野に入れており「東京で優勝し、パリで出場できたら間違いなくそれが最後になる」と語った。

世界選手権に出場するか否かで日本柔道界にとっても大きな影響を及ぼす。日本代表の井上監督は「これだけの選手が日本に来てくれるだけでもありがたい」と感謝した上で「急に出るとなったらダメージは大きい。出場すると思ってそのための準備をしたい」と話した。

「今は東京五輪しか考えていない」(リネール)とスタンスは変わらないが、日本柔道界にとって今後の動向が注目される。日本にとって最大のライバルとなる世界王者が五輪3連覇へ向けいよいよ始動した。【松熊洋介】