20年東京オリンピック(五輪)のテスト大会で最強中国を迎え撃った日本男子は0-3で敗れた。世界ランキング5位のエース張本智和(16=木下グループ)が同1位の樊振東(22)に0-3も、強化し続けてきた技術が効き「なめられていたフォアが通用するイメージを植え付けられた」と手応えをつかんだ。五輪で打倒中国を目指す日本にとって、スコアには見えない収穫があった。

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グッと右手首を強く折り曲げ打球の瞬間、より厳しい角度にクロスを打ち込む。第3ゲーム、張本のフォアに樊振東もついていけず、6-6に追いついた。「簡単にフォア側に打ってはいけないイメージを付けられた」と納得の表情。もともと得意なバックはほぼ対等に渡り歩いた。狙われていたフォア側の割合を少しでもバック側に引き込めば、張本の攻め手が広がる。

代名詞チキータ(手首を素早く反らし返球がバナナのようなカーブを描くバックハンドレシーブ)が研究され4月の世界選手権は16強で終戦、悔し涙を流した。そこから「フォアの強化」を口癖のように言うようになった。周囲が止めたくなるほどの練習の虫は、苦手を得意に変えていった。

団体戦の他のメンバーより10歳ほど年下だが「エースの自覚が生まれた」と倉嶋洋介監督。張本は「これまでは年齢を考えたが、自分が引っ張る気持ちが持てた」。打倒中国、東京五輪で金メダルを夢物語にしないためにも残された8カ月の短い期間、ひとときも無駄にはできない。【三須一紀】