【デュッセルドルフ=峯岸佑樹】女子52キロ級で世界選手権2連覇の阿部詩(19)が決勝進出を決めた。初戦の2回戦から4試合連続でオール一本勝ちを収め、決勝の勝敗に関係なく東京五輪代表が濃厚となった。男子66キロ級で一昨年まで2年連続世界一の兄一二三(ともに日体大)、男子60キロ級の高藤直寿、女子48キロ級の渡名喜風南(ともにパーク24)も決勝に進んだ。今大会は男女9階級で代表1番手が出場。結果次第で、27日に都内で行われる全日本柔道連盟の強化委員会で五輪代表が複数決まる見込み。

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世界女王の阿部詩は、貫禄のある柔道で決勝へ進み、東京五輪代表をほぼ確実とした。内容も完璧で初戦の2回戦から準決勝まで4試合連続でオール一本勝ち。準決勝では、イスラエル選手に豪快な袖釣り込み腰で畳に沈め、横四方固めで抑え込み、合わせ技一本を決めた。

決勝の相手は、昨年11月のGS大阪大会決勝で、対外国勢49戦目にして初めて黒星を喫した因縁のブシャール(フランス)だ。五輪代表切符を逃す痛恨の1敗だっただけに「神様からの試練だと思って前に進みたい」と、リベンジを果たして五輪切符を勝ち取る思いを持って臨んだ。

この3カ月間、敗戦映像を何度も見返して敗因を追求した。課題に挙げた、重圧の中で襟と袖を持って相手を追い詰める形を反復するなど自身の柔道と向き合った。27日の全柔連の強化委員会で、2番手との差が大きい階級については代表が決まる。今大会の決勝の成績に関係なく、世界選手権2連覇の阿部の代表選出は決まる見込み。「重圧を力に変えて、さらに成長した姿を見せたい。まだまだ進化したい」。東京五輪での金メダルを目指し、「怪物になりたい」と夢を抱く19歳の世界女王。夢舞台への本当の挑戦が始まる。