3月の世界選手権(カナダ・モントオール)に出場する宇野昌磨(22=トヨタ自動車)が91・71点を記録し、首位発進した。

4回転トーループの着氷が乱れるミスがあったが、冒頭の4回転フリップなどに成功。演技後は年明けからメインコーチに正式就任した、06年トリノ五輪銀メダルのステファン・ランビエル氏(34)に笑顔で出迎えられた。

「やっぱりコーチが(練習を)見てくれていて…。特にスピンですかね。スピンは僕が休みがちなので、すごく細かいところを指摘されることが多々あります」

昨春に山田満知子、樋口美穂子両コーチから“卒業”。メインコーチ不在で今季を過ごしたが、グランプリ(GP)ファイナル出場を5季ぶりに逃すなど、本来の輝きが遠かった。ランビエル・コーチに師事したことで拠点はスイス。コーチを選ぶ過程で、宇野が大切にしたことがあった。

「言い方が悪いかもしれませんが、去年は自分が『うまくなりたい』と思って、スケートをしていて。(8位だったGPシリーズ)フランス大会で、僕はいろいろ悩んで『うまくなりたい』よりも『もっとスケートを楽しみたい』と思った。ステファンのところに行ったのも『うまくなりたい』と思って行ったのではなくて『スケートを楽しみたい』。ここなら楽しめると思ったので、ステファン・コーチにつくことに決まった。ちゃんとした自分の意思で、自分のことを決められた気がしました」

フリーは22日。「楽しむ」ことを軸に、1歩ずつ進んでいく。(エリーヌ・スウェーブルス通信員)