新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京オリンピック(五輪)は延期となった。来夏、あらためて選手たちが目指すメダル。各競技どのような獲得の歴史が刻まれてきたのか。「日本の初メダル」をひもとく。

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セーリングは2度のメダル獲得がある。ともに種目は470級だ。470級は、艇の全長が4・7メートル。乗員2人の適正な合計体重が125~135キロと、日本人の体格に最も合っているといわれる。

日本セーリング界、記念すべき初メダルは96年アトランタ五輪女子470級の重由美子、木下アリーシア組の銀だった。

身長150センチと小柄ながら経験豊富なスキッパー重が、175センチと大柄な木下をスカウト。92年バルセロナ五輪で5位に入り、アトランタではメダルが照準に入った。

重の鬼のしごきで、何度も木下はやめそうになる。しかし、不屈の闘志で食らいつき、その努力がメダル獲得につながった。

04年アテネ五輪では男子470級で関一人、轟賢二郎組が銅メダルを獲得。関は現在、東京五輪男子470級代表の岡田奎樹のコーチを務め、その岡田は重の教え子でもある。

重は18年12月9日に、53歳の若さで亡くなった。重や関らメダリストの思いを乗せ、代表は東京五輪で日本初の金メダル獲得に挑む。