国際スケート連盟(ISU)は19日、フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦フランス杯(11月13~15日、グルノーブル)を中止にすると発表した。スイスを拠点とする男子の宇野昌磨(22=トヨタ自動車)島田高志郎(19=木下グループ)と、欧州で練習している女子の紀平梨花(18=N高東京)がエントリーしていた。

新型コロナウイルスの影響によるGPシリーズの中止はスケートカナダ(10月30~11月1日、オタワ)に続いて2大会目。この第2戦には、女子の宮原知子(22=関大)とペアの三浦璃来(18)木原龍一(28=ともに木下グループ)組が出場を予定していた。結果、今季GPシリーズの海外大会に出場する日本代表は現時点でゼロになった。「1人1大会」「母国または練習拠点国(エリア)」に出場が制限されており、日本勢は11月27~29日の第6戦NHK杯(大阪)に集中することになる。

また、16日には4大陸選手権(来年2月8~14日、オーストラリア・シドニー)の中止も決定。14日のスケートカナダ、19日のフランス杯と合わせて1週間で3つもISU公認大会が消滅する「中止ドミノ」が、新型コロナ禍の再流行によって引き起こされた。いずれも選手たちの安全を確保するための決断だ。

フランス杯に関しては、日本時間17日に競技時間の変更を発表。同国マクロン大統領が、開催地グルノーブルや首都パリなどに対して最低4週間、午後9時~午前6時の夜間外出禁止令を発したことを受けた措置で、大会の競技スケジュールを一部前倒しすることで抵触を避けていた。

この対応が開催を確約するものではなかったが、わずか2日後に中止が決定。ISUは「フランス連盟がグルノーブル市と協議し、大会をキャンセルするという難しい決断を下した。新型コロナに関する保健当局の判断を注意深く見守ってきたが、アスリートやコーチ、運営関係者、ボランティアの健康と安全への配慮を慎重に考えた結果。フランス連盟は適切だった」と決定を受け入れ、尊重する声明を出した。【木下淳】