節目の第100回記念大会を、桐蔭学園(神奈川)が制した。決勝で初優勝を狙った京都成章を32-15で下し、2大会連続3度目の優勝を飾った。2連覇は第89~91回大会を3連覇した東福岡以来、史上9校目。東日本勢では、第73、74回大会を制した相模台工(現神奈川総産)以来の快挙。前半を10-10と同点で折り返し、後半に3トライを挙げて突き放した。東の横綱が「西高東低」と言われてきた勢力図を塗り替える確かな足跡を残した。

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無観客の聖地・花園にノーサイドの笛が響くと、桐蔭学園のフィフティーンは両手を突き上げ喜びを表現した。粘る京都成章を退け、全国の頂点に立った。堂々の2連覇を達成。戦後6校目の偉業だった。前回大会から主力として活躍するNO8の佐藤主将は「コロナでしんどい時に切磋琢磨(せっさたくま)した仲間と、もう1回単独優勝したかった。それができてうれしいです」と笑った。

決勝も、王者の風格が漂う試合だった。互いに1トライずつ取って前半を折り返すと、風上に立った後半2分に敵陣ゴール前での相手パスミスを突き、フランカーの粟飯原がトライ。同5分にはタックルを受けながら、巧みにボールをつなぐオフロードパスなど鮮やかなプレーで、最後にWTB今野がインゴールに飛び込んだ。さらに1トライを挙げてだめ押し。準々決勝から御所実、大阪朝鮮高、そして京都成章と、関西の強豪を3校撃破し、頂点まで駆け上がった。

例年なら2月の関東新人戦を皮切りに、3月の選抜大会など実戦を積んで成長していく。公式戦は年間40試合近く行うが、未曽有のコロナ禍で今季は半分以下にまで減った。全体練習の再開は7月初旬。約4カ月間自粛を余儀なくされた。王者は常に新しいものを取り入れ、逆境をはね返した。支えたのは、ヤンキースや広島で活躍した黒田博樹投手ら超一流を指導してきた「パフォーマンス・コーディネーター」の手塚一志さん。15年以上前から交流がある藤原監督から依頼を受け、独自のトレーニング法をオンライン中心に選手全員に伝えた。

四つんばいになって地をはうように進んだり、腰にチューブを巻いた状態で引っ張ってもらいながら走ったり。骨盤や体全体を刺激するメニューを教わった、選手たちも効果を実感。超高校級ロックの青木は「細かいステップを刻んで、うまく走れるようになりました」と手応えをつかんだ。

史上9校目となる連覇はゴールではない。足元を見つめながら、1歩1歩進んできた結果だ。佐藤主将は言う。「自分たちの戦いにフォーカスする。それができたからこそ優勝できた」。強みを理解して信じ続け、偉業を成し遂げた。コロナ禍で地元の神奈川にも緊急事態宣言が発令された。関西で年越しし、頂点に立った選手たちは感染対策もしっかり行い、ウイルスという見えない敵とも戦いながら、明るいニュースを届けた。【平山連】

○…先制トライを挙げた桐蔭学園のロック青木が、やり返した。昨年度の選抜大会準決勝で京都成章に競り勝ったが、「1対1(の局面)で負けて、心が折れました」と悔いを残していた。大事な決勝では、前半19分にラックから持ち出し、左中間に今大会通算7つ目のトライを決めた。その後は得意のプレーで好アシストをするなど躍動し2連覇に大きく貢献。相手の本橋との注目の大型ロック対決も制した。高校最後の公式戦で「1対1の場面で全部勝てた」と満足げ。卒業後は本橋とともに、強豪の帝京大に進学する予定となっている。

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