18年平昌五輪(オリンピック)男子の銀メダリスト宇野昌磨(23=トヨタ自動車)が、今季のフリーを4回転ジャンプ4種5本の高難度構成にする方針と明らかにした。

通し稽古を終えた後、報道陣の取材に応じ「4回転はループ、サルコー、フリップ、トーループの4種類を全部、フリーに入れたいと思っています」と発言。「この『フレンズ・オン・アイスが終わり次第、練習に取りかかろうかなと。4回転(合計)5本と、あとは(トリプル)アクセル(2本。僕がスケートをやってきた中で最も難しい構成になるんじゃないかなと思います」と語った。

来年2月に北京五輪を控える。その中で試行し、実現させる可能性については「今は1つ1つのジャンプなら、例年より良いものが跳べています。あとは試合につながる練習をしていけば、間違いなく、例年より良い状態で試合に挑めるんじゃないかな」と自信をにじませた。今季のフリーは不朽の名作「ボレロ」に挑むと決めている。

宇野が4回転ループを跳ぶのは、4種5本に挑むのは、前回五輪シーズンまでさかのぼる。17年9月のロンバルディア杯(イタリア)で4回転のループ、サルコー、フリップとトーループ2本をフリーで跳んで214・97点(ルール改正前)をたたき出した。12月のグランプリ(GP)ファイナル(名古屋)でも挑んでいる。

それ以来となるチャレンジに「本当に久々。正直まだ自信はないけど練習ではやっと跳べるようになってきた。早く試合で成功させることが楽しみ。五輪シーズンとか関係なく成長したいので」。五輪前ということで小さく、確実な演技で「まとめた演技にしろと言われても、もっともっと成長したいので挑戦する」と口調は力強かった。

現在は拠点のスイスではなく国内で調整中。この日は北京五輪イヤーのショートプログラム(SP)になる可能性がある「オーボエ協奏曲」を舞った。「シーズンに入る前の最後のアイスショー。ここを機に気持ちも練習内容も切り替わる節目なので、より競技に近い構成で、緊張感ある滑りを見せられれば」。そう意気込んだ通り、しっかり力を込めて4回転トーループを跳ぶ場面もあった。

「オーボエ協奏曲」は昨季のエキシビション曲。正式に今季SPとなったのか記者団から確認されたが「まだ明確な答えを、言いたいけど言えないんです。ステファン(・ランビエル)コーチに見てもらっていないので」とスイスにいる師との現状を説明。マイケル・ジャクソンの「アース・ソング/ヒストリー」との2択で「有力なのはオーボエかなと自分では思っているけど…」としながらも「まだ断言し切れない」とした。

「フレンズ・オン・アイス」は昨年、新型コロナウイルス流行の影響で中止に追い込まれたが、今年は各種感染症対策を講じた上で復活。29日まで計5公演を予定している。【木下淳】