日本オリンピック委員会(JOC)と全日本柔道連盟の会長を兼ねる1984年ロサンゼルス五輪(オリンピック)無差別級の金メダリスト山下泰裕氏(64)が11日、個人の公式サイトにロシアのウクライナ侵攻を非難する声明を出した。

「ウクライナの人々、そして世界中の柔道を愛する方々へ」と題してメッセージを更新。「1人の柔道家」として以下のようにつづった。

「連日メディアで報道されるウクライナにおける非人道的な行いの数々、柔道家であるプーチン大統領によるロシア軍の侵攻のニュースを聞くにつけ、心を痛めてきました」

「これらの行為は柔道の精神、目的に完全に反するものです。全く容認することは出来ません」

「柔道には、競技スポーツの一面もありますが、精力善用や自他共栄をはじめとする精神を学び、鍛えた心身によって自己の完成を目指し、世の中に貢献することを究極の目的としています」

「柔道家として、ウクライナの人々、そして世界中の柔道を愛する方々に思いを馳(は)せ、深い悲しみを覚えるとともに、愚かな行為が一日も早く止むことを願います」

(原文まま)

講道館柔道の創始者、嘉納治五郎師範が提唱した「精力善用」と「自他共栄」を用い「愚かな行為」と断罪した上で戦禍の終結を願った。同じ内容の英文も併記した。

国際柔道連盟(IJF)がプーチン大統領の名誉会長と大使の資格を停止した直後の3月1日には、都内で「世界の柔道界が1つになってやっていく時に、今この時点でプーチン大統領が名誉会長の座にいることは好ましくない。私の考えははっきり伝えた」とも強調した。

同14日のJOC/NF(国内競技団体)国際フォーラムでは、親交があるとされるプーチン氏との関係について「柔道を通じたつながりはあるが、直接のコネクションはないのが現状。普段からやりとりしていると誤解されている方が多いが、直接届くルートは個人的には持ち合わせていない」と説明するにとどめていた。【木下淳】