ヒロさん、翔太、ノブさん、秋田から応援しています! B2優勝とB1昇格を懸けたB2プレーオフが6日開幕。仙台89ERSと福島ファイヤーボンズは今日7日から仙台で開催されるクオーターファイナルで激突する。Wリーグ・アランマーレ秋田・内田幸織(さおり)トレーナー(30)は17年から2シーズン、B1三遠でアシスタントトレーナーを務め、藤田弘輝ヘッドコーチ(36=仙台)、菅野翔太(30)、長谷川智伸(31=ともに福島)とチームメートだった。内田トレーナーが手に汗握る熱戦を期待し、3人にエールを送った。(敬称略)
【取材・構成=相沢孔志】
一緒に戦った3人が、別々のチームでプレーオフ(PO)を戦う。内田は「東北に元三遠のメンバーが集まっていることが、すごくうれしくて」と今季開幕前から注目していた。福島出身で大学卒業後、専門学校を経て17-18シーズンからB1三遠のアシスタントトレーナーに。2シーズン在籍し、19年8月からアランマーレ秋田でトレーナーを務めている。
三遠時代に指揮を執っていた藤田には感謝しかない。「正直、私はヒロさんじゃなかったら2年間もいれなかったと思います」。1年目はトレーナーのキャリアを歩み始めたばかりで、相手はプロ選手。「求めるものは高くて責任もある。自分のことで精いっぱいだった」と振り返った。不安もあった中、藤田から節目に送られた言葉に支えられていた。
内田 私が2シーズン目も契約しますという時に、ヒロさんがLINEで英語の文章を送ってくれたことがありました。日本語訳した時に「このチームにとってあなたは貴重な存在だよ」という感じで書かれていました。スタッフにこういう言葉をかけてくれるヘッドコーチ。1年目からかなり人に恵まれて仕事をしていたと感じました。
だが19年春、別れが訪れる。契約満了を伝えられた日に「すぐに電話しました。『満了になりました』と伝えました」。同時期に藤田も三遠を去り、B1琉球へ。1年半後の20年10月。B1秋田のホーム開幕戦が琉球戦だった。「ちょっとだけ時間を取っていただいて話すことができました。お土産も買っていただいて」と笑顔で思い出を語った。
「チームのために何ができるか」。Bリーグで得た貴重な経験が今の活動に生きている。感謝の思いを込めて、ホームの“黄援”を受けて戦う藤田にエールを送った。
内田 ヒロさんはすごく選手思いで、ヒロさんの変わらない熱があって、絶対にチームが良いところまで行けていると思います。ぜひ優勝してB1に上がってほしいです。B1なら秋田との試合もありますし、よりヒロさんを近くで応援できますし、B1に戻って活躍されているヒロさんをもう1回見たいです。
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福島には2人の選手がいる。内田がアシスタントトレーナー2年目の18-19シーズン。B2福島から菅野、B1滋賀から長谷川が移籍。同世代で同じ福島出身の菅野は、中学でバスケットを始めた内田にとって「心強い存在」だった。
内田 中学校の時から知っている存在だったので、翔太が福島ファイヤーボンズで活躍してるところを見てやっぱりすごい人だなと感じました。まさか三遠で一緒にできるとは思っていなかったです。一緒にトレーニングもやってくれて、トレーニングについて具体的に質問をしてくれた選手でした。
B1滋賀からやってきた長谷川は内田の1歳上。「(17-18シーズンは)髪の毛がすごく明るくて…この人、絶対に怖いよなと思っていた人が三遠に来ることになってドキドキしていました…(笑い)」。それでも、1年間をともに戦い、その内面を知ると印象が変わった。
内田 見た目と中身は全く違いました。ふざける時はふざけて、真面目な話をする時は相手を思って話すことがすごく多かったです。今はB1秋田にいる川嶋勇人さんとノブさんは同期なんですけど、2人からは仕事の話や私の今後のこととか、治療の場でもいろんな話をしました。本当に優しいお兄ちゃんという感じでした。
菅野は昨季、福島に復帰。長谷川は今季から所属し、クラブ初のPO進出に貢献した。負けられないPOで最初に立ちはだかるのは、藤田が指揮する仙台だ。昇格を信じ“応炎”してくれるブースターに勝利を届けるため、敵地に乗り込んだ菅野と長谷川にエールを送った。
内田 翔太が復帰して、キャプテンで福島とチームを盛り上げようとしているところにノブさんが来ました。POに行けたのは、2人が三遠での経験を還元したから上位に上がったと思います。相手がヒロさんだからといって、思い切りぶち当たってほしいというか、「仙台を負かしたる!」ぐらいの気持ちで、2人がケガなく活躍できたらうれしいです。暴れ回ってください。
目標はともに「B2優勝とB1昇格」。レギュラーシーズンは6戦3勝3敗と五分の「東北勢対決」。両者の意地がぶつかる一戦をしっかり見届ける。
◆内田幸織(うちだ・さおり)1991年(平3)9月25日生まれ、福島県出身。郡山高-国際武道大-東京メディカル・スポーツ専門学校。17~19年はB1三遠アシスタントトレーナー。同年4月に退団後、8月からアランマーレ秋田トレーナー。166センチ。家族は両親と妹。趣味はおいしいコーヒーを探すこと。
<仙台藤田HC>
藤田ヘッドコーチは「うっちー?」と内田からのエールに驚き、「彼女はとても純粋でハードワーカー。何年もたった後にメッセージをもらえるのはすごいうれしい」と喜んだ。
PO初戦となるクオーターファイナルは福島と対戦。福島にはかつてともに戦った菅野、長谷川、村上慎也(31)らが在籍しているが、藤田ヘッドコーチは「(それは)あまり関係ない。でも、試合中に小言を話したりできる楽しみはある」と冗談めかした。そして、POに向けて「やってきたことを信じてやりきったチームが勝つ。周りで応援してくれている人たちのためにも目標を達成したいです」と、一層気を引き締めた。
<福島菅野>
菅野は内田からのエールに気持ちを引き締めた。「1年しか一緒にやっていないですけど、彼女なりにいろいろ勉強していました。(今は)違う場ですけど、しっかり僕たちのことも応援してくれていると感じました」。
仙台は東北学院大(宮城)在学時に練習生として契約した縁のあるチーム。藤田ヘッドコーチとは、プロキャリアを歩み始めたbj福島や三遠で過ごした。「自分が成長した姿を見せられるチャンス」。個人ではディフェンスから貢献するとともに「チームが得点が止まっていたりとか、流れが悪い時など、4Qでの勝負どころで流れを作れるような3ポイントを決めたいですね」。
福島出身の主将は「目の前の仙台戦をしっかり戦って1つ1つ勝ち上がっていくことをやりたい」と一戦必勝を誓った。献身的なプレーで存在感を見せる。
<福島長谷川>
長谷川は内田のエールを受け、プレーする意義を再確認した。「応援してもらえるのは非常にありがたい。自分のためにというよりは家族やブースター、会社の方、スポンサーさん、周りで応援してくれる人のためにと思った方が頑張れます。苦しい時も乗り越えられるので、こういうメッセージはありがたいですね」と感謝した。
仙台には三遠と琉球で戦った藤田ヘッドコーチだけでなく、先輩や外国籍選手もいる。寒竹隼人(35)は福岡大大濠、拓大の先輩で19-20シーズンは琉球でプレー。また、ジャスティン・バーレル(34)は、NBL三菱電機名古屋(現B1名古屋D)時代のチームメート。長谷川は「いろいろ関わった人が仙台に多いので意識する部分はありますが、勝負の世界。しっかり勝ちにこだわって、ここまで来たら内容よりも結果。全力でぶつかっていきたい」と闘志を燃やした。


