車いすの部・男子シングルス決勝で世界ランキング1位の小田凱人(17=東海理化)が4大大会2連勝を飾った。

世界ランキング2位のアルフィー・ヒューエット(25=英国)を6-4、6-2のストレートで撃破し初優勝を決めた。17歳69日での制覇は6月の全仏オープンに続き、男子の大会最年少記録。ウィンブルドンの日本男子王者は1月に現役を引退した国枝慎吾さん(39)以来、2人目の快挙となった。

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小田は目を細めながら会場を見渡した。相手ヒューエットの地元英国での優勝。試合後は17歳を祝福する拍手が響き渡った。「こんなに応援していただけるとは思わなかった。夢の中にいるみたい。本当に幸せ」。独学で習得した英語で、喜びを表した。

第1セット序盤は会場の雰囲気にのまれかけた。車いすの操作が難しい芝のコートにも苦戦し、1-4とリードを許す展開。ただ、「芝でもクレーでも、やることは1つ。自分がどういうプレーをするか」と集中し、粘り強くボールを追った。得意のバックハンドで攻め、一気に5ゲームを連取。1セット目を取ると、続く第2セットでも0-2から6連続でゲームを奪った。「タフな試合だった」。全豪オープン、全仏オープンに続き、グランドスラム3大会連続で同じ顔合わせとなった決勝を制し、笑顔で汗を拭った。

飽くなき向上心が連続優勝につながった。先月10日に全仏を制した直後。歓喜の輪の中で「すぐにでもウィンブルドンでタイトルをとりたい」と心を切り替えた。快挙達成に浸るよりも「これを何度も経験したい、より多く達成したい」という渇望が勝っていた。

10歳で競技を始めてから「夢は世界一」と口にしてきた。世界の第一線で活躍するアスリートの動画を視聴し、立ち居振る舞いを学んだ。この日の優勝インタビュー。「お祝いにシャンパンを開けたいけど、まだ17歳なので…炭酸水で乾杯します」。ユーモアたっぷりのスピーチで、観衆を和ませる余裕があった。目標は4大大会で勝ち続け、来夏のパリパラリンピックを制すること。「経験を積んで、パリには最高の状態で挑む」。8月下旬には全米オープンも控える。小田は何度でも、世界の頂点に立ち続ける。

 

◆小田凱人(おだ・ときと)2006年(平18)5月8日、愛知県一宮市生まれ。サッカー少年だった9歳の時に左足に骨肉腫を発症。国枝慎吾さんに憧れ、10歳で競技開始。21年に史上最年少の14歳11カ月でジュニア世界ランク1位。22年4月にプロ転向。同5月の全仏オープンに4大大会史上最年少出場。23年1月の全豪オープン準優勝。同6月の全仏オープンを17歳33日で制し、男子同種目で最年少優勝を達成した。