社会人と学生の王者対決から、Xリーグ同士に変わって3季目を迎えた日本一決定戦を、富士通が3連覇した。パナソニックとの3年連続同一カードを16-10で制し、通算では8度目の頂点。利き手の右中指を骨折していたエースQB高木翼(31)がパスで233ヤードを獲得した。MVPにはスペシャルプレーの決勝タッチダウン(TD)パスを通したWRサマジー・グラント(28=米国)が輝いた。
我慢勝負を制したのは、絶対王者だった。10-10で迎えた最終の第4クオーター開始53秒、富士通QB高木からボールを受けたWRグラントが、意表を突くパスをエンドゾーン内のWR木村へ通した。ライスボウル用に考案したスペシャルプレーで21ヤードの決勝TDを奪い「練習の成功率は4分の0だったけど、自信があったから『コール(作戦を指示)して』と言ったんだよ」。MVPに輝いた4季目の助っ人は胸を張った。
その攻撃を調律したのは「状態30%」だという高木だった。日本代表のエースでもあるパサーは、利き手の右中指を10月末に骨折。全治3カ月と診断され、今季絶望を覚悟し「実は前日練習で1度も投げていない」と明かす逆境だったが「先発起用に応えなかったら男じゃない」と燃え、両軍最多233ヤードを9人に投げ分けた。TDパスこそなかったものの、パナソニックの攻撃時間を奪う、心を折るダウン更新を連発した。
今季は、高木だけでなく日本代表主将のLB趙ら多くの主力を負傷で欠いた。山本ヘッドコーチは新人や若手を駆使し、接戦の末にXリーグのプレーオフ決勝=ライスボウルへ勝ち上がった。本番も前回MVPのDB高岡が退場したが「培った総合力が生きた。攻撃も高木に合わせて作ってきたので、万全でなくてもやってくれる」。3連覇が必然の集団にまとめ上げた。
これで富士通が17~20年に達成したV4の再現に王手。直近10年で8度の日本一だ。「また黄金時代ですね」の声に、指揮官は「いやいやいやいや」と謙虚だったが、層の厚みは攻守に増す一方。1強の牙城は崩れそうにない。【木下淳】


