水泳と野球で別々の道を歩む兄弟が、同じ日に勝利の味をかみしめた。
予選で日本学生新記録(51秒08)を樹立した元高校球児の光永翔音(しょうおん、中大2年)が、51秒32で優勝し、50メートルとの2冠を達成した。
この日のレース中、高校野球の春のセンバツでは山梨学院高1年の弟惺音(れのん)も長崎日大との初戦で「8番捕手」としてスタメン出場した。初回にはスクイズを決めて打点もマークし、チーム5得点の猛攻を後押し。守っても3投手による3失点リレーで勝利に導いた。
レース前、惺音がスクイズを決めた瞬間をテレビ中継で見ていたという翔音は「兄としてはもう感動。初回に5点を取ったところを見ていて、本当にもう兄として誇らしい気持ちでいっぱい。弟の結果を見て、(自分も)絶対優勝しなきゃなって」。前夜は連絡を取れなかったというが、2冠への原動力にも変えた。
東京・日大豊山高では野球部にも所属。右投げ右打ちの好打者として3年夏には全国選手権東東京大会ベスト8入りにも貢献した。水泳部でも全国高校総体(インターハイ)に出場し、チームの総合優勝の立役者にもなった。
元二刀流スイマーとして注目を浴びたが、「自分の泳ぎができない時もあったりしたように野球も一緒で、自分のスイングができないことがあった。大会で打てないと、『ここで打てないようじゃこの先無理だな』ってちょっと自分で諦めがついた」。
高校でバットを置き、大学進学後は水泳に専念し、2028年ロサンゼルス五輪(オリンピック)を目指すことを表明した。入学後は基礎から見直し、191センチの体格を生かしたダイナミックなフォームを磨いてきた。
兄の2冠達成後、弟惺音の山梨学院高も5-3で初戦突破を飾った。
野球部時代は甲子園の土を踏めなかった翔音だが、「野球よりは確実に世界に行ける」と覚悟を決めた2年後の今では世界の水路を目指す新世代スイマーの1人となった。
「やっと上を目指せる土俵に立てた。(世界では)ちょっと日本人がちょっとスプリント種目で劣っているので、自分が世界に名をちゃんと刻められるような選手になっていきたい」
これからの競技人生で忘れられない春となった。【泉光太郎】


