阪神鳥谷敬内野手(34)が長いトンネルを抜け、虎を4日ぶりの白星に導いた。0-0の6回2死満塁。DeNA久保康の外角低め143キロ直球をミートし、痛烈なゴロで中前にはじき返した。直前の打席では25打席連続ノーヒットで自己ワースト記録を更新。「そういうことは考えず思い切っていった」。先制2点打が決勝打になった。
試合前練習でルーティンに変化を加えた。いきなり外野フェンス沿いのランニングを始め、フリー打撃の時間を長く取った。通常の遊撃練習を終えると、珍しく左翼から右翼に走りながら打球を追う「アメリカンノック」も敢行。「寒さもあったので」。気温10度を切る肌寒い天候に対応するため、黙々と準備する姿に焦りは一切なかった。
「体を大きくして動けなくなって、その間にすごいショートが入ってきたら終わりでしょ? 結局、責任を取るのは自分だから」。開幕直前の3月下旬。人知れず、覚悟を明かした。
オフ、金本新監督から超変革を厳命された。体重3、4キロ増からの自己最多20発超えを指令され、首を縦に振った。34歳。「変わるリスク」は承知の上で「チャレンジする」と決めた。昨季は肋骨(ろっこつ)骨折や右脇腹負傷に苦しみ、納得いくパフォーマンスを披露できずにV逸。悔しさが挑戦の土台となった。
昨年6月ごろから揚げ物の摂取を控え、シーズン終了後は麺類も米粉を使用したモノだけを口にした。食事制限を続けながら、ウエートトレーニング量もさらに増やしてパワーアップを狙った。現状、体重80キロ前後に大幅な変化はないというが、妥協なき準備を進めてきたから一時の苦境にも不惑でいられる。
金本監督は「やっとね…。6番は本当にチャンスで回ってくる。すごく重要だと思っているから」と復調を喜んだ。金本阪神のキーマンがいよいよ眠りから覚める。【佐井陽介】



