<7月前半の陸上競技展望・アジア選手権&世界ユース編>

 アジア選手権、ユニバーシアード、世界ユース選手権と3つの国際大会が7月前半に開催される。モスクワ世界陸上代表選手たちは8月の本番に向けての調整の意味合いが強いが、それぞれのカテゴリーでメダルを期待できる選手たちが多い。

 アジア選手権(奇数年に実施)は開催地がインドのチェンナイから、直前になってプネーに変更された。日本国内や欧米のような、記録を出しやすい環境は望めないと思った方がいいだろう。勝負優先の大会となる。

 モスクワ世界陸上代表が7人出場する。男子では200メートルの小林雄一(23=NTN)と400メートル障害の笛木靖宏(27=チームアイマ)、女子では200メートルの福島千里(25=北海道ハイテクAC)と100m障害の紫村仁美(22・佐賀陸協)、400メートル障害の久保倉里美(31=新潟アルビレックスRC)の5人がエントリー時点のシーズンベストが1位。

 しかし日本選手の記録は高速トラックや追い風など、条件の良い国内大会で出したもの。アジア選手権で結果を残すことで、8月の世界陸上への自信を得られる。五輪2大会連続準決勝進出の久保倉や、シーズンベストでは3番目だが、走り高跳びの福本幸(36=甲南学園AC)らの戦いぶりが若手選手の参考になりそうだ。

 日本選手権終了後に陸連が選考方法を変更し、4×400メートルリレー以外はアジア選手権で活躍しても世界陸上代表には選ばれない。だが、男子110メートル障害の矢沢航(21=法大)や女子1万メートルの萩原歩美(21=ユニクロ)ら、若手有望選手はアジアで結果を残すことが世界へのステップとなる。

 外国勢では、今季2メートル40のアジア記録を跳んでいる男子走り高跳びのムタス・エッサ・バルシム(21=カタール)、女子1500メートルロンドン五輪銅メダルのメアリアム・ジャマル(28=バーレーン)らが出場する。

 世界ユースは高校3年生の早生まれ以降の選手が参加し、2年に1度開催される世界大会。男子短距離とリレー、競歩などで日本が好成績を収めている。

 今年の男子短距離のエースは永田駿斗(17=諫早高)で、100メートルは10秒58、200メートルは21秒18を今季出している。本番で自己記録前後で走ればメダルに手が届くだろう。

 男子1万メートル競歩の山西利和(17=堀川高)も、2月の日本選手権10キロ競歩に41分14秒で優勝している。そのタイムを出せばメダル有望だ。

 女子長距離はケニア、エチオピア勢が出場してくるのでメダルは難しいが、1500メートルの出水田眞紀(17=白鵬女高)や3000メートルの野添佑莉(17=神村学園高)と林田みさき(17=姫路商高)らは確実に入賞したい。【7月前半の主な陸上競技大会】7月4~7日:アジア選手権(プネー・インド)7月7~12日:ユニバーシアード(カザン・ロシア)7月10~14日:世界ユース選手権(ドネツク・ウクライナ)