マラソン界の「レジェンド」が、現状の日本男子マラソン陣にカツを入れた。

 14日、神戸市のアシックス本社で「1964年東京オリンピック50周年記念『50年の時を経て』」と題されたトークショーが開催された。

 参加したのは、64年東京五輪の男子マラソンで金メダルを獲得した故アベベ・ビキラ(享年41)の息子で、来日中のイエトナイエトさん(45)と、同五輪で日本代表として出場した君原健二さん(73)、寺沢徹さん(79)の3人。偉大な金メダリストの思い出話に花を咲かせる一方で、今でも走り続ける歴戦のランナーが、男子マラソン陣に期待を込めた。

 同五輪は8位ながら、次の68年メキシコ五輪で銀メダルを獲得した君原さんは「世界はどんどんレベルが上がっている。日本の選手が好成績を収めるのは、たいへん難しいかもしれない」と前置きしつつ「私も円谷さん(東京五輪銅メダル)も、64年東京五輪の6年前はインターハイで予選落ちした。そんな選手でも十分、五輪に出場できる可能性はある」。世界最高記録も樹立した寺沢さんも「2時間6分台の選手が何人か出て競え合えば、6年後に世界と戦える力がついてくる。ここ1、2年で何人か出てくれば」とレベルアップに期待した。