<高校総体:陸上>◇30日◇沖縄県総合運動公園陸上競技場◇女子100メートル決勝

 高校陸上界に新星が出現した。女子100メートル決勝で創志学園(岡山)・青木益未(1年)が、12秒23で初の栄冠に輝いた。この種目で1年生Vは、04年の高橋萌木子(埼玉栄-平成国際大)以来。史上初のインターハイ3連覇を達成した高橋の高校記録(11秒54)更新を目標に掲げ、福島千里(22)が持つ日本記録(11秒12)も見据えた。

 インターハイデビューの1年生が、上級生の優勝候補を負かした。青木はスタートで一気に飛び出し、滑らかなフォームでスピードに乗った。2位に0秒12差つける快勝。並ばれることもなく、ゴールを駆け抜けた。「スタートして、横に誰もいなかったのでいけると思った。決勝進出が目標だったのでビックリ。大好きなおすしと、メロンパンを食べてるときくらいうれしい」と、おどけた。

 指導する神田治正コーチ(52)も「体を緩めて、後半に伸びるような動きだけを練習してきた。それが最後までできていた」と満足げだった。普段はのんびり屋も、レース対策は準備万端だった。会場の風が向かい風だとわかると、スタート練習を入念にチェックした。「すぐに上体が起きないことと、ピッチが落ちないようにした」と、打ち明けた。

 166センチのスプリンターは、岡山市の陸上クラブに拠点を置く。学校が終了すると、自転車で10分のグラウンドで、約2時間トレーニングする。中学時代にジュニア五輪で優勝し、高校女王を意識して練習にも熱がこもった。高校入学後、足の抜けが良くなる感覚を覚えてから、タイムが飛躍した。

 卒業までに高橋萌木子が持つ高校記録更新を目標に掲げ、高橋以来2人目の3連覇の権利を手にし、「チャンスを得たので狙ってみようかな」とニコリ。今年6月に11秒99の自己ベストをマークした伸び盛りの新女王。将来の日本女子短距離界を担うエース候補が出現した。【谷口輝博】