<横浜国際女子マラソン>◇20日◇横浜市山下公園発着(42・195キロ)

 09年の世界選手権銀メダリストの尾崎好美(29=第一生命)が、2時間23分56秒の好タイムで優勝し、2大会連続の世界切符をつかんだ。

 「もうできません。長い間、本当にお世話になりました」。レース前日、山下佐知子監督(46)から丁寧な言葉をいただいた。本紙評論家としての話だ。91年世界選手権銀、92年バルセロナ五輪4位の名ランナー。現役引退後の96年4月に第一生命の監督に就任したが、その前から評論家。本紙とは15年来という付き合いだ。しかし、尾崎を育て、来年のロンドン五輪でメダルを狙う今、特定メディアに評論できる立場ではない。指導者として、大きな局面を迎えたようだ。

 女性指導者のパイオニア。入社10年目で世界に出た尾崎を見て「3、4年目でも、10年待てばいいのかなと思ったりする。これまで、やめていった子も、今だったらもうちょっと育ったかな」。そんな山下監督について、尾崎は「熱くなりやすいので、いつも抑え気味に指示する。じゃないと暴走してしまう」と笑う。

 快活で根っからの体育会系。尾崎を「おざきっ!」と呼び捨てる。「マラソンは仕事と違って生きがい」と公言する山下監督。この日ばかりは大好きなビールで祝杯か、と尋ねると「毎晩飲んでますよ。でも尾崎の方が私より強いかも」。夢は広がるばかり、だ。