＜東京マラソン＞◇２７日◇東京都庁前－東京ビッグサイト（４２・１９５キロ）

　異色の市民ランナーが、世界切符をつかんだ！

　陸上の世界選手権（韓国・大邱＝テグ、８月２７日開幕）の代表選考を兼ねたレースで、ノーマークの川内優輝（２３＝埼玉陸協）が２時間８分３７秒で３位に入った。序盤からアフリカ勢のハイペースに食らい付き、３８キロすぎで先行する尾田を逆転。日本人トップでゴールし、選考基準の「９分２９秒以内」も楽々クリアした。

　川内の激走に、日本陸連幹部は衝撃を受けた。木内ロード長距離対策委員長は「川内選手あっぱれ。尾田以下（の実業団選手）はしっかりしろ！」と話し、沢木専務理事も「期待していたランナーが消えてしまった。既存のチーム（実業団）に大きなショックを与えた」と陸上を本業とする実業団選手の不振を嘆いた。

　一方で、川内の精神力を高く評価した。練習量は実業団の約半分だが、意識が遠のくほどのがむしゃらな走りに、沢木専務理事は「異色な存在」と表現。木内委員長も「マラソンとは素質だけでは予想通りの走りはできない。ハングリーさを持った選手は、とてつもない走りをする。新しいヒーローが出てきた」と、川内の出現を歓迎した。