男子マラソンのカンボジア代表としてロンドン五輪出場を決めたお笑いタレント猫ひろし(34)が26日、都内で会見した。「最低でも自己ベスト更新。1年に20分速くなってるので、夢は世界新記録でメダルを取りたい」と宣言。08年にフルマラソンに初挑戦して5年、夢の実現に「ゴールでは最高の五輪ギャグを見せたい。ロンドンに向かって猫まっしぐランニャ~!」と笑顔をみせた。

 珍しくスーツに赤いネクタイ姿の猫だったが、会見では緊張していた。「代表に選んでいただき、責任を感じます。今のタイム(2時間30分26秒)では五輪では通用しないので、これからは世界一練習する覚悟。初マラソンから1年(ごと)に20分速くなっているので、本番での夢は世界新記録とメダル。最低でも自己ベストを更新し、世話になっているコーチのベスト2時間27分を超えたい」。

 朗報は自宅で聞いたが「ドッキリかと思ってカメラを探した」。支えてくれた妻に「ありがとう」と報告し、所属するWAHAHA本舗の先輩久本雅美からは「よくやった」とメールが届いたという。

 カンボジアでも26日付現地紙で代表決定が報じられ、4月中旬には首都プノンペンで代表発表会見に出席する。「五輪でいろいろな選手と一緒に走るのが楽しみ。代表なので走りながらの『ニャー』は抑えるけれど、最初と最後は『ニャー』をして、ゴールでは最高の五輪ギャグを見せたい」。五輪では本名の「滝崎邦明」で出場するという。

 昨年10月にカンボジア国籍を取得したが「国籍変更は最初は笑いのネタみたいなものだった」という。「カンボジアの人に失礼」など批判も多く、猫も五輪に行けなかったらとの不安を抱いたこともあった。

 「出られなかったら『国籍まで変えて、こいつ何やってんだ』と笑ってほしいと思っていた。批判している人が間違っているとは言えません。カンボジア人になって、ある意味、自分の人生を芸にしているともいえます。一生懸命走ることがカンボジアの人や協力してくれた人への誠意だし、芸人としての生き方だと思っています」

 現在は日本に滞在し、毎日30~40キロ走っている。「カンボジアの選手の環境は良くないし、僕が代表として走ることで、日本でもカンボジアに興味を持つ人も増えている。五輪後も国籍はそのままのつもりです」。日本とカンボジアの人々の応援を背に、ロンドンでは猫まっしぐらで走り抜ける。