カンボジア国籍を取得してロンドン五輪男子マラソン代表に選ばれたタレント猫ひろし(34)の参加資格を国際陸上競技連盟が疑問視し、カンボジア陸連などに説明を求めていることが12日、分かった。五輪出場が認められない可能性も出てきた。

 国際陸連は今年から、国籍変更に関連し、過去に国際競技会で代表経験がない選手について新たな規定を設けた。国籍取得後1年が経過していない場合は「連続した1年の居住実績」「国際陸連理事会による特例承認」のいずれかが必要になった。中東諸国が潤沢なオイルマネーの力でアフリカの有力選手を国籍変更させており、この流れが若手選手の青田買いに及ぶのを阻止する意図がある。猫はメダル争いとは無関係だが、トップ選手をターゲットにした規定厳格化のあおりを受けた格好だ。

 カンボジア国籍を認められたのは昨年10月28日。連続した1年の居住実績がない可能性が高く、何らかの形で実績を証明するか、カンボジア陸連が特例として申請し、国際陸連から承認を受けるしかない。しかし承認を得るだけの説得力ある根拠は見当たらない。国際陸連関係者は「重大かつ意義深い理由がなければならない」としており、「門前払いになる可能性もある」と話す。

 カンボジア・オリンピック委員会は、猫を3月に同国五輪代表に決め、猫もこれを聞いて泣いて喜んだ。今月中旬に首都プノンペンで代表発表会見に出席する予定もある。念願達成はもうすぐという段階で黄信号がともった。

 猫の所属事務所は「カンボジア陸連がどう対応なさるか、待つしかないのが正直なところ」と話した。