<別府大分毎日マラソン>◇3日◇大分市高崎山うみたまご前-大分市営陸上競技場(42・195キロ)

 ロンドン五輪で日本選手最上位6位入賞の中本健太郎(30=安川電機)が、歴史的マッチレースの敗者となった。公務員ランナー川内優輝(25=埼玉県庁)の仕掛けに食い下がり、前に出て引っ張るが引き離せない。勝負の40キロ過ぎ、川内のラストスパートにつけず撃沈された。

 「40キロ過ぎのスパートに反応できなかった。(川内との)直接対決で負けたのは悔しい」。五輪代表3番目の座を争ったのも川内。最後は滑り込んだ形だが、五輪本番で好結果を残した自信とプライドがあった。「40キロ過ぎに仕掛けて勝つイメージを持っていたが、逆にやられてしまった」。自己ベスト更新も、ラスト勝負で負けた悔しさが晴れない。

 五輪後、気持ちをもう1度レースに向けることに苦労した。「目標を考えたとき、マラソンを1本走りたいと思った」。今大会に照準を絞り、本格的な練習を始めたのが昨年10月から。万全ではない中で好勝負を演じたが、勝負に負けた悔しさだけが残る。

 2位でも、8月のモスクワ世界選手権代表の有力候補に残った。「モスクワに選ばれるか分からない状況だが、このままでは悔しい。今後(川内と走る)機会があればやり返したい」。大分の敵はモスクワで。中本に新たな目標が生まれた。【実藤健一】