<黒部名水ロードレース>◇26日◇富山・黒部市総合体育センター発着◇ハーフマラソンほか

 世界選手権(8月、モスクワ)男子マラソン代表の川内優輝(26=埼玉県庁)が“優勝”で5月の「ハーフ月間」を締めくくった。13キロ過ぎから独走して、大会記録を48秒更新する1時間3分58秒でフィニッシュ。ゲストランナーで順位はつかなかったが、1等賞でゴールした。月間5本目のハーフマラソンを最高の形で走り終えた。

 川内が、顔をゆがめてゴールに飛び込んだ。後続に1分31秒以上の差をつけた。荒い呼吸で黒部の名水を頭にかけて、さらにがぶりとひと飲み。最高気温28度の暑さに負けず大会新記録でフィニッシュ。「いいレースになった。給水は全部とって、おいしい黒部名水のおかげでいいタイムが出たのかなと思う」と笑った。

 地元富山のYKK山田直弘(28)との一騎打ちだった。13キロの給水ポイントで仕掛け引き離した。「後ろは気になったが振り返ると不安になるので。今日はヤジはなくて、すごい応援で感謝しています」。

 目標だった1時間4分台を上回った。「実業団の主力級と戦えることは少ない。実業団選手権とかを重視するが、YKKさんは地元の大会を大切にしている。今後もこうやって、全国の実業団と勝負していきたい」と「道場破り」にも意欲を見せた。

 スピード強化の「ハーフ月間」は1カ月で5本を走って終了。「初の経験でどうかなと思ったけど、終わってみれば、いい月間だった。監督やコーチがいれば反対すると思うが、僕にはいないので」とにやり。日本陸連の宗猛・長距離マラソン部長からも「好きなようにやれ。(モスクワの)スタートラインに自信を持って立てばいいから」と、お墨付きを得ている。

 スピード強化を終え、6月は「走り込み月間」。同2日に千歳JAL国際でフルマラソン、同16日には隠岐の島ウルトラマラソンで50キロを走る。「集中的に走り込みたい。距離に対する不安をなくす」。誰もまねできない調整法でモスクワに向かう。【益田一弘】