男子100メートルで、日本人初の9秒台を狙う桐生祥秀(17=洛南高)と山県亮太(21=慶大)の勝負靴がお披露目になった。アシックス社が世界選手権で着用予定のスパイクを展示。2人は、同社のイージーオーダースパイクを愛用。桐生は2万6250円、山県は2万9400円の商品がベースだ。同社のスポーツ工学研究所の田崎公也マネジャー(42)が違いを説明した。

 <1>桐生

 足のサイズは25・5センチで重さは約135グラム。ピン6本の軽量タイプを使用。足の回転数アップのために軽さにこだわる。田崎氏は「ピン6本は必要最低限の配列で薬指の部分にピンがないタイプ。人間は左右の足で大きさに違いがあるが、桐生君は左右差が1ミリぐらいしかない。非常にきれいな足をしている」。

 <2>山県

 足のサイズは26・75センチで重さは約150グラム。ピン8本で地面からの反発をしっかり捉えるタイプ。本人の要望で、かかと部分に通常の倍に近い長さのヒールカウンターが入る。田崎氏は「山県君はスタート時につま先を外向きにつく。中間疾走もその傾向がある。靴の中で足がぶれて、力が外に逃げることを防ぐためにかかとが硬い靴を選んでいるのでしょう」。

 同社は残り2カ月でピンの素材を従来の鉄製よりも軽いチタン製に変える選択肢も準備。さらにシューズの編み目を極力なくした約120グラムの超軽量靴も用意している。スパイクの上部は「電光石火の速さ」を意味する「ブルーストリーク」という色を基調にしている。タイプが違う2人の足元を支えて9秒台突入をアシストする。【益田一弘】