陸上男子100メートルで日本初の9秒台を目指す桐生祥秀(17=洛南高)が、東京五輪の「主役」取りを宣言した。開催が決まり、「ちょうどいい年齢」という24歳で迎える大会の100メートル決勝の舞台へ自信をのぞかせた。

 「ジェット桐生」が東京で主役を張る。陸上界のスター候補生も武者震いだ。

 「五輪は陸上をやっているなら、最高の舞台だと思う。日本でやるなら日本の舞台で走りたい。楽しみ。これからいろいろ世界を経験して、タイム、強さをもって臨みたい」

 95年12月15日生まれの桐生は、16年リオ五輪を20歳、20年東京五輪を24歳で迎える。日本歴代2位の10秒01を持つが、7年後はさらに速く強い自分をイメージする。「試合も積み重ねて、その時はちょうどいい年齢。すごくいい時に(東京五輪を)迎えられる」。

 かつて五輪は夢だった。12年ロンドン五輪は滋賀・彦根市内の自宅でテレビ観戦。山県の準決勝進出に興奮して「自分がこういう舞台に立つとは全然思っていなかった」と言う。今年5月にはセイコーゴールデングランプリで国立競技場を走ったが、東京五輪について「そんな先は考えてられないです」と話していた。

 だが17歳は急激な進歩を遂げた。8月に世界選手権に初出場。10秒31とわずか0秒01差の4着で予選敗退も「高校時代は基本づくり。その後で技術練習をやればいい。まだこれからの自分はどんどんいける、全然いけそうな気がする」。激動の夏を終えて「リオでは今よりも強くなっている自分がいる。世界選手権、五輪と重ねるごとに強くなる」と口にするようになった。五輪はもう夢じゃない。2020年夏、新国立競技場で男子100メートル決勝の舞台に立つ-。それは、7年後の「ジェット桐生」にとって、現実的な目標だ。