<陸上:全日本大学駅伝>◇3日◇愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮(8区間106・8キロ)

 圧倒的な強さで駒大が3連覇を果たした。スタートで1区の中村匠吾(3年)がライバル東洋大に32秒差をつけ、抜かれた後の4区で今度は村山謙太(3年)が、盤石の1分33秒差をつける再逆転で勝負あり。10月の出雲と同じく、3年生コンビの活躍で5時間13分9秒でフィニッシュ。日体大に並ぶ最多11度目の優勝を決め、史上4校目の年度3冠に王手をかけた。

 「窪田を上げろ!」。歓喜のゴールテープを切った主将の窪田を、大八木監督は胴上げ選手に指名した。5時間13分15秒のレースを想定し、誤差はわずか6秒。緻密な戦略で3連覇を果たしたそんな指揮官でも、誤算はあった。「村山があそこまで走るとは…。本当に強かった」。

 出雲に続き村山が独走態勢を盤石にした。東洋大と10秒差でスタートすると、3キロ付近で一気に突き放した。「もう破られない」とまでいわれた山梨学院大のモグスが持つ記録を8秒更新する区間新。「内心は39分台もあったけど設定は40分40秒。まさかモグスさんの記録を更新なんてビックリです」と目を丸くした。

 5月に股関節を故障。今年の箱根駅伝5区を走った後のレース過多も要因だ。迷路にはまった時に「自分は足にバネをためて走るタイプ」と思い直す。疲労を抜くなど体のケアを覚え、大八木監督からは調整法を助言された。先月の箱根駅伝予選会では双子の弟紘太(城西大)が日本人1位。「2人で箱根2区で走る」夢も近づく。もう1人の同学年生も刺激だ。

 「お互いライバル。負けられない」と村山が言うのが、1区で区間賞の中村だ。満を持して送り出された東洋大・設楽悠を12キロ付近で一気に突き放す。「自分も緊張で1年の時に失敗した。高校の後輩(で2区のルーキー西山)に楽な気持ちでたすきを渡したかった」と先輩の自覚を示した。

 中村が独走態勢の口火を切り、村山で盤石にする。Vパターンは確立され、史上4校目の年度3冠に王手をかけた。出雲、全日本で区間賞獲得の2人には、箱根で史上11人(14回)目の“個人年度3冠”の期待も高まる。「謙太はいつも区間新で負けている感じ。いいライバル関係でいたい」と中村。「うぬぼれてはいけない」と自らを諭す村山も走りに磨きをかければ、チーム&個人の「ダブル3冠」も夢ではない。【渡辺佳彦】