<陸上:静岡国際>◇3日◇エコパスタジアム(静岡県袋井市)◇男子200メートルなど

 “和製ボルト”が貫禄勝ちで、国際大会の社会人デビュー戦を飾った。男子200メートルで飯塚翔太(22=ミズノ)が、20秒39で優勝。昨年の大会で出した日本歴代3位(20秒21)には及ばなかったが、高瀬彗(富士通)を0秒06抑えて先着。アジア王者という今季の目標に向け好スタートを切った。

 大外の9レーン。決して恵まれた条件ではない。それでも飯塚は、コーナーを回りきって確信した。「これ、来たな」。この時点でトップを快走する。10年世界ジュニア王者の馬力を生かし、同じ地元静岡出身の先輩・高瀬を抑えた。

 予選はスタートから30メートルの加速区間で体が浮き、バランスを崩した。本人いわく「ガムシャラに走っただけの感じ」という20秒65。五輪も世界選手権も経験した社会人1年生は、自分に言い聞かせた。「予選でミスするようじゃ世界で勝てないぞ」。3時間後の決勝まで自分の走りに徹することだけを考えた。

 伊東浩司短距離部長は、飯塚の集中力にうなった。「あの高さはすごい」。100メートル9秒85の自己ベストを持つ米国ロジャーズの追随も許さぬ走りに「またワールドクラスに近づいた」とも称賛した。

 昨年は5月の20秒2台後は、6月の日本選手権で20秒3台、8月の世界選手権は20秒6台。「海外の勝負どころで勝てない。今年はアジアチャンピオンの肩書をもらいたい」という目標を掲げ、昨季の反省からピークの時期を遅らせる。だからこの日のタイムは合格点といえよう。100の桐生、200の飯塚-。男子スプリント陣を、この両エースがけん引する。【渡辺佳彦】