<レスリング:全日本選抜選手権>◇2日◇東京・代々木第2体育館

 女子48キロ級で08年10月以来の現役復帰戦となった坂本日登美(29=自衛隊)が優勝し、世界選手権(9月、モスクワ)の代表切符を獲得した。かつて51キロ級で世界女王に6度輝いた実力者は階級変更した48キロ級で3戦とも圧勝。北京五輪出場を逃してからは同級の妹清水真喜子さんをサポートするためコーチに回ったが、昨年末に妹が引退したため現役復帰。姉妹の悲願である五輪出場を12年ロンドン五輪でかなえる。

 坂本の力は抜けていた。阿部との決勝はアンクルホールドを連発し、2-0の圧勝。1年半ぶり復帰戦を優勝で飾り「夢に見た五輪階級で優勝できてうれしい」とかつての51キロ級の世界女王が言葉を詰まらせた。

 五輪階級では妹が48キロ級のため55キロ級で挑戦し、金メダリスト吉田沙保里に阻まれた。北京五輪後に引退。サポートしていた妹が09年9月の世界選手権で敗退し「『日登美が五輪を目指した方がいい』と言ってきた。自分も挑みたいと思った」(坂本)と、思いが一致した。妹は同12月の全日本優勝を花道に引退、結婚。バトンが引き継がれた。

 51キロ級時代は暴飲暴食で急な減量でしのいだが、8キロの減量を要した今回は計画的に自炊。前日の計量でパスして妹からおにぎりとケーキを差し入れされた。「明日は見守っているから頑張って」と手紙も添えられ、この日の力に変えた。

 48キロ級は現在は戦線離脱中の五輪銀メダリスト伊調千春がいる。「誰が出てきても勝たないといけない。妹が苦しんだ48キロ級を自分が受け継いで、五輪で金メダルを取りたい」。2人分の夢が坂本を強くする。【広重竜太郎】