<フィギュアスケート:世界選手権>◇13日◇カナダ・オンタリオ州ロンドン
ケガを抱えながら強行出場した羽生結弦(18=東北高)が、75・94点の9位発進となった。先月下旬に練習で左膝を負傷も、ソチ五輪の国別出場枠がかかる大会のため出場を志願していた。ケガを言い訳にせず、4回転ジャンプで転倒しながらも気力の演技をみせた。84・67点の高橋大輔(26)も4位で、3枠確保には順位は落とせない。15日のフリーで、再び痛みと闘いながら上を目指す。無良崇人(22)は73・46点で11位。チャン(カナダ)が世界歴代最高得点を更新する98・37点で首位発進した。
「今は言えません。とにかく、その話はフリーの後でいいですか」。脂汗だろうか、顔中に大粒の汗を浮かばせながら、演技後の羽生は左膝についての質問を避けた。決して言い訳にはしたくない。そしてケガに負けたくない。「とにかく悔しい、本当に悔しい」。その強いまなざしに18歳の決意がみなぎっていた。
先月末だった。インフルエンザで10日間練習を休み、迎えた久々のリンク。遅れを取り戻そうと体力の落ちた体を動かした。代償はこれまで感じたことがない左膝の痛み。再び1週間動けず、練習再開は6日。調整期間の短さ以前に、本来なら欠場すべき状態。痛み止めを飲み、地元トロントの指圧師に付きっきりで治療してもらっていた。
この日、いつもの切れはなかった。「入る前から無理だなと思った」と冒頭の4回転ジャンプで転倒して壁に激突。終盤の連続ジャンプでも1本目で手をつき単発になった。
その中で支えになったのは、積み重ねた技術と表現力。世界歴代最高点を2度更新した自慢のプログラム。ステップ、スピンと痛む足を動かす。「とにかく集中力が切れないように、いままでやってきたタイミングとか、何度も何度も確認してやりました」。芸術的要素を表す5項目の得点40・82点は全体3位だった。
昨年大会も公式練習で右足首の靱帯(じんたい)を損傷。ケガのことは明かさず、SP7位からフリー2位で銅メダルをつかんだ。この日は決めのポーズでふらつき、腰に手をあてるなど、満身創痍(そうい)なことは確か。だが、18歳が口にした言葉には不思議な説得力があった。「やってきたことを信じてやる。フリーはこんな落ち込んだ顔をみせないようにしなきゃダメだと思います」。
◆五輪出場枠
男子と女子は、日本のように今大会に3人が出場する場合、上位2人の順位合計が「13」以内なら最大の3枠、「28」以内なら2枠を獲得する。アイスダンスは出場枠24のうち19枠が今回決まる。ソチ五輪で新たに採用される団体は、来季のグランプリ・シリーズの結果も合わせ、出場枠10が割り振られる。


