中日はチーム17年ぶりの山形で今季3度目の6連敗を喫し、借金も最多の12に膨らんだ。先発小笠原が6回3失点と粘ったが、打線は10安打を放ちながら2得点どまり。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)は7回に2番手清水が3者連続四球から3失点した場面を振り返り、序盤の打たれ方が終盤に響いたと指摘した。【聞き手=佐井陽介】


中日は1点ビハインドの7回、2番手の清水投手が3者連続四球から3失点してゲームを決められました。山形の慣れないマウンドだった、という側面もあるかもしれません。ただ、終盤の四球連発には伏線があったように感じます。

先発の小笠原投手は序盤、「入り」と「勝負どころ」で痛打されるケースが目立ちました。

1回はボール先行後のファーストストライクで1番増田選手に右前打、3番ウォーカー選手に左翼線二塁打を浴びました。4番岡本和真選手を迎えた1死二、三塁でも、1ボールから左中間フェンス手前まで犠飛を運ばれています。

2、3回に入ると、今度は2ストライクと追い込んでから安打を浴びるシーンが増えました。追い込んでからの被安打はこの2イニングだけで3本。なんとなくの3球勝負もあったように見受けられました。

そういった展開が続くと、どうしても後ろの投手の心理面にも影響が出てしまうものです。

ブルペンで待機している投手たちは必ず先発投手の投球、配球をつぶさにチェックしています。序盤から早いカウントや勝負どころで打たれる場面を頭にインプットすると、当然、自分がマウンドに上がる際は「より慎重にいかなければ」という発想に至ります。

ただでさえ、接戦の終盤に登場するリリーフ投手の失点には重みがあります。「試合を左右する1点」をなんとしても阻止したい状況。そこで必要以上に高さ、コースを意識しすぎると、苦しくなってしまうのは必然の流れです。

その上、この日はリードする捕手も石橋選手が9回までマスクをかぶり続けました。最後は「より慎重に」というイメージをバッテリーで強く共有したが故の四球連発、3失点だったようにも映りました。

これで6連敗。勝てていない期間は「1点もやれない」と配球が窮屈になりがちなので、次戦も注意が必要です。次の舞台は郡山。先発する高橋宏斗投手はバトンを託す投手がしんどくならないように、序盤から「打たれ方」にも気を配ってほしいと思います。(日刊スポーツ評論家)

巨人対中日 5回裏巨人1死一塁、丸(奥)に右越え2点本塁打を浴びる小笠原(撮影・河田真司)
巨人対中日 5回裏巨人1死一塁、丸(奥)に右越え2点本塁打を浴びる小笠原(撮影・河田真司)