3月10日。道上洋三さんが83歳の誕生日を迎えた。

この日の朝6時30分から放送されたABCラジオ「おはようパーソナリティ小縣裕介です」で、道上さんの近況が伝えられた。

誕生日に先立って、小縣裕介アナ(54)は道上さんが入院している病院を見舞った。病のため会話はできない道上さんだが、小縣アナの言葉に時折、反応し、何かを言いたげだったという。

「おはようパーソナリティ道上洋三です」から番組名が「おはようパーソナリティ小縣裕介です」に変更されたのは2022年3月28日から(金曜は「おはようパーソナリティ古川昌希です」に)。

「ガッチ」の愛称で知られる小縣アナが名物番組のバトンを引き継いで、もう4年が過ぎた。この間、道上さんが愛する阪神タイガースは2度も優勝。道上さんが担当した時代(1977年~22年)が45年間で優勝3度だったのに対し、見違えるように阪神は強くなった。道上さんの胸中はいかばかりか。

同番組の初代「おはようパーソナリティ中村鋭一です」の放送期間は1971年~77年。タイガースが勝った翌朝に、大声で「六甲おろし」を歌い上げるのが大阪らしい名物番組でもあった。

後を継いだ道上さんもまた、少年時代に藤村富美男さん(阪神タイガースのレジェンド)を生で見て以来、熱狂的な阪神ファンだった。「暗黒時代」と称されるタイガースの低迷期にあっても、ひたすら応援を続けた。

ラジオは生活密着型のメディアでもある。仕事をしながら、運転をしながら、毎日決まった番組を耳にする。後を受けて頑張っている小縣アナ、古川アナには申し訳ないが、シニア世代にとって「ABCの朝」といえば、イコール道上さんなのだ。

ライバルとも称されたMBSラジオ「ありがとう浜村淳です」は月~金曜こそ後進に道を譲ったが、土曜日の朝は今も91歳の浜村淳さんが元気な声を届けている。浜村さんのラジオを聞くたびに、道上さんのことをふと思い出してしまう。

まだ現役バリバリだった当時の道上さんに「いつまで『おはパソ』を続けたいですか?」と尋ねたことがある。考えれば失礼な質問でしかない。それでも道上さんは表情を変えることなく「自分の体が続く限り、マイクの前でしゃべりたい!」と熱っぽく語ってくれた。全力で「六甲おろし」を歌う熱さの一方、根は優しいジェントルマンなのだ。

45年間にわたって築かれた道上さんの功績は、今になっても色あせない。現在の道上さんについて、ABCラジオでは「復帰に向けてリハビリ中」と話す。もしラジオの神様がこの世におられるなら、1日だけでいい。道上さんを再びマイクの前でしゃべらせてほしい。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミへキタへ~」)