車いすテニスの男子シングルス世界1位で、パラリンピックで計4個の金メダルを獲得した国枝慎吾(38=ユニクロ)が現役引退を発表した。22日、自身のSNSで日本語と英語で表明した。2月7日に記者会見を開く。

車いすテニスの4大大会では男子世界歴代最多50回の優勝。年間最終世界ランキングでは昨年も含め、計10回も1位を記録した。世界トップのまま、ラケットを置く。

SNSにメッセージ画像を投稿し「2023年1月22日付で引退することになりました。夢が叶った東京パラリンピック後から引退についてはずっと考えており、昨年念願のウィンブルドンタイトルを獲得してからは、ツアーで戦うエネルギーが残り僅かである事を感じる日々でした。昨年10回目の年間王者になった事で、もう十分やりきったという感情が高まり、決意した次第です」(原文まま)とつづった。

9歳の時に脊髄腫瘍を発症し、下半身まひに。11歳で車いすテニスに出合うと才能を開花させる。04年アテネから21年東京までパラリンピックは5大会連続出場。シングルスで3個、ダブルスでは1個の金メダルを獲得した。シングルスでは全豪オープン11回、全仏8回、全米8回、ウィンブルドン1回の優勝を誇る。

ラケットには「おれは最強だ!」と書いたテープを貼り、貪欲に勝利を追い求めてきた。最後のパラリンピックとなった21年の東京では日本選手団主将を務めながら2大会ぶり3度目の金メダルに輝いた。卓越した技術と強いメンタルで、さまざまな人間に勇気と希望を与えた偉大なパラアスリートが、コートを去る。

◆国枝慎吾(くにえだ・しんご)1984年(昭59)2月21日生まれ、千葉県柏市出身。パラリンピックは5大会連続出場。ダブルスは04年アテネ金、08年北京と16年リオデジャネイロで銅。シングルスは08年北京と12年ロンドン、21年東京で金。世界ランキング1位。