[ 2014年2月15日9時23分

 紙面から ]ラージヒルの公式練習を終え、引き揚げる葛西(共同)

 ノルディックスキー・ジャンプ男子の「レジェンド」葛西紀明(41=土屋ホーム)が、ラストチャンスにかける。今日15日、個人戦の最後となるラージヒル(LH)に出場する。9日のノーマルヒル(NH)で持病の腰痛を悪化させたものの、“即席”病院に駆け込み痛みは解消。13日の練習は2回飛び、いずれも飛距離で2位と好調をアピールし、悲願の金メダルへ期待を抱かせた。

 レジェンドの顔に笑顔が戻った。9日の個人NH(8位)後に腰痛を発症し不安をのぞかせていた葛西だが、13日の練習で2回飛び、131・5メートル、134メートルとともに2位の飛距離をマークと金メダルへ再加速した。「ジャンプの調子はまずまず。腰はまだ重たい感じだが、ジャンプには影響がない程度。日本のメダルが増えてきた。僕も金メダルを取りたい」。願う個人のメダルへは15日のLHが最後のチャンス。あらためて明確な誓いを立てた。

 男子は実力が拮抗(きっこう)し、上位20人くらいまでの選手に表彰台のチャンスがある激戦。LHとはいえ、飛距離にほとんど差がでないため、鍵を握るのが足を前後にして着地するテレマーク姿勢だ。飛型点に大きく関わってくるだけに重要だが、13日の2回の練習では1度も入れなかった。「衝撃がきて、また腰を痛めるのが嫌だった。入れないとメダルは取れないので、泣き言言わずに勝負の時はしっかり入れる」と自信を見せている。

 8位に終わった個人NH後、腰痛を訴えた。一時は痛み止めを飲むほど悪化していたものの、選手村の2つ隣の部屋にチームドクターが滞在。「ある電気治療はすべて」(葛西)施し、トレーナーからマッサージを受けるなど、懸命な治療を受け、痛みは解消した。「しっかりケアして団体戦(17日)まで腰をもたせたい」と話す。

 発奮材料ができた。同じ世界最多7度目の出場だったリュージュ男子1人乗りの42歳のアリベルト・デムチェンコ(ロシア)が銀メダルを獲得し、最年長メダリストになった。記録男が燃えないわけがなかった。「本当に?

 すごい。僕も続きたい」と気合を入れ直した。悲願の金メダルで歴史を塗り替えてみせる。【松末守司】