取材エリアに飯塚翔太(26=ミズノ)は落胆を隠せない様子でやってきた。「しんどいですね。うまくいかないです」。

 予選7組で20秒58の4着でゴールだった。電光掲示予選突破者の一覧に名前はなかった。「準決勝で勝負するチャンスがもらえなくて悔しい」。声のトーンは低かった。

 取材も終わりに差しかかった時。取材エリアにあるテレビに信じられない光景があった。飯塚の隣に通過を意味する「Q」とあった。カナダと南アフリカ選手が、レーンを逸脱したため失格となっていた。2着に繰り上がり、準決勝進出が決まった。

 それを見た飯塚は目を丸くして「え~」と腰をのけぞった。「挽回します。複雑なんですけど、今の課題をクリアできれば、チャンスある。挑戦します。これは初めてですね」と明るい声。その後、カナダと南アフリカが抗議したが、判定は覆らなかった。