サニブラウンが数多くの日本のスプリンターがはね返されてきた舞台でも力を出せるのは、ユース世代で世界を経験しているのが大きい。オランダで外国人選手と一緒に練習する日常で、場慣れしているのも強みだろう。日本選手権の100メートルからスピードに自信を付けている部分もある。今回はあらためて可能性の大きさを感じた。コーナーの曲がりはやはりスケールが大きい。大きなストライドもいい走りだった。準決勝で2着に入ったことに何の違和感もない。

 雨の中でもしっかりと準備をしてレースに臨むという一貫したレイダー・コーチの指導法もすばらしい。日本人は雨をよけて、いろいろなことを考えますけれども、そういうところはすごいと感じた。

 ボルトの記録を抜いていった。サニブラウンは、ボルトを超える「世界記録を出したい」と目標にしているが、それがこの先、本当に現実に近づく期待が持てる第1歩ではないかと思う。(日本陸連強化委員長)