国内最高峰バレーボールリーグのVリーグは、今後どうなるのか。4月下旬に運営の日本バレーボールリーグ機構(Vリーグ機構)のオンライン会見で、嶋岡健治会長の後任に、全日空商事副社長でVリーグ副会長の国分裕之氏が就任すると発表された。リーグの顔が変わっての新たな船出に、取材した1人としては期待よりも不安が募った。

日本協会の会長と兼務していた嶋岡氏は、開催まで残りわずかとなった東京五輪へ最大限力を注ぐために辞任を決めたという。「今のポジションでは時間的に不足の部分が出て、じくじたる思いがあった」と話した。

地域密着型の推進や日本のトップアリーナスポーツにする構想を託された国分氏は「選手、監督としては大きな実績はないが、50年にわたるバレーボール愛がある」。企業人として培った経験を生かしていきたいとした。

「このタイミングでの(嶋岡氏の)辞任は職を投げ出しているのではないか」「(バスケットボールの)Bリーグとの違いをどう感じているのか」など、出席した記者からの質問は手厳しかった。「プロ化など見える形での変化が必要になるのではないか」との質問には、国分氏が「プロ化ありきではなく、地域一緒になってできることが大事」と説明。リーグが大きく変貌を遂げると感じられるような回答はなかった。

一説によるとバレーボールの世界競技人口は5億人を超える。サッカーやバスケットボールよりも多いが、国内人気は後者に先を越されている。男子プロバスケットボールのBリーグ1部の観客数は2019-20シーズン114万人に対し、同シーズンのVリーグ男子1部は21万人、女子1部は18万人。参加チームや試合数に違いはあるものの、大きく離されているのが現状だ。

2018年に新リーグが立ち上がったVリーグでは、ホーム・アンド・アウェー方式が導入された。チームにホームゲームの興行権を全面的に委譲して地域密着を推し進め、競技普及と強化を目指した。

ただ、選手の1人は「あの時新リーグになって何が変わったのか。選手たちも分かっていなかった」。プレーしている選手たちにも伝わりづらいリーグ改革が変化の妨げになったのではないかと振り返り、「JリーグやBリーグとか他競技の運営を見習ってほしい。プロ化だって選択肢の1つとしてあってもいい」と話していた。

来季もコロナ禍で迎えるだろう。今季のように一部の試合で無観客になったり、試合延期・中止になったり。選手、ファンに引き続き大きな影響を与えることが予想され、チーム関係者の中にもリーグの未来に不安を感じている声が少なくない。先行きの見えない暗い状況の中、目の前を明るく照らすような抜本策はないのか。担当記者としても考え続けたい。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)