10日に現役引退を発表したフィギュアスケート女子の浅田真央(26)が12日、都内で会見し、引退の理由を語った。「自分の強さ」の象徴でもあるトリプルアクセル挑戦を貫き、自己ワーストの12位に終わった全日本選手権が引退を決める大きな理由だったと明かした。涙をこらえ、笑顔で競技生活に別れを告げた。一問一答は以下の通り。

 -今どんな心境か

 浅田 この場に立ったときに、これだけたくさんの人がいらしてくれて、私自身びっくりしたが、今は落ち着いている。

 -かけられた言葉で印象的だったのは

 浅田 たくさんの方が、連絡をくれた。みんな、お疲れさまと声をかけてくださって、ああ選手生活を終えるんだなと思った。

 -引退を決意したのは

 浅田 復帰してから、練習や試合に出るにつれて、私もついていけるのかなと感じて。前よりもつらいことが多くなった。最後の全日本で、もういいんじゃないかなと思った。

 -葛藤は

 浅田 復帰してから掲げた目標の平昌五輪があり、やらなければいけない思ったし、言ってしまったことへの葛藤があった。

 -悔いは。

 浅田 自分の体も気持ちもやれると思って復帰した。挑戦してみて、気持ちも体も気力も全部、出し切ったので悔いはない。

 -昨年の全日本でのトリプルアクセルの思い出は

 浅田 最後、トリプルアクセルを挑戦して終えたのは私らしい。

 -2度の五輪を振り返って

 浅田 バンクーバーは19歳だった。若くて、気が強くて、強い気持ちだけで乗り越えた。ソチはショートが残念な結果だったが、フリーでバンクーバーからソチの4年間の思いを4分間に込めることができた。私の今後においても、いい思い出になった。

 -世界選手権は3度優勝した

 浅田 2回、世界選手権で金を取ったときは、五輪の後で、五輪の悔しさをはらせた。最後の世界選手権は、(スケート人生)最後だと思って臨んだので、最後にすべてをぶつけた。

 -最も思い出に残った試合は

 浅田 1つというのは難しくて。でも、ソチのフリーかなと思う。気持ちが、すごい落ち込んでたりしたが、それでもあれだけの演技ができたこと、そして五輪だったことが大きかった。

 -復帰について

 浅田 この2年間は、ソチのシーズンの世界選手権で選手を終えていたら、今もできたんじゃないかと(悔やんでいたと)思う。自分が望んでチャレンジして出した結果なので、今は何も悔いはない。

 -フィギュアはどんな存在だったか

 浅田 う~ん。難しい。でも、一言で言うと人生かなと思う。

 -自分をほめたいことは

 浅田 私は、すぐに飽きちゃう性格なのに、5歳から26歳まで(フィギュアを)続けて来れたので、すごいねと言いたい。私のすべてがスケート中心の生活だったので、すべてだった。

 -引退の実感は

 浅田 熱気もすごいですし、のど乾いちゃった。発表するまで実感はなかったが、あらためてここに座って、スケート人生を振り返って話していると、引退するんだなとわいてくる。気持ちはすごく晴れやか。

 -もし悔いがあるとしたら

 浅田 本当に決断するに当たって、すごく悩んだ。やり残したことはなんだろうと思ったけどなかったので、やり尽くしたんだと思う。

 -今日の衣装は

 浅田 黒のスーツか白。どちらにしようか悩んだが、自分の気持ちとしては、本当に晴れやかな気持ちなので、この(白の)服を着ている。

 -トリプルアクセルとは

 浅田 伊藤みどりさんのようなトリプルアクセルを跳びたいと、夢を追ってやってきた。跳べたときはうれしかった。でも自分の強さだったが、その分、悩まされることも多かった。

 -トリプルアクセルに声をかけるとしたら

 浅田 えっ、声をかけるんですか。難しいなぁ。「何で、もっと簡単に跳ばせてくれないの」かな。

 -平昌五輪の枠が2つ。決断に影響したか

 浅田 平昌をやめてしまう自分が許せるのか、許せないのか、というのがあって。最後、話し合って決めたのが2月だったので。世界選手権が影響したわけではなく、自分自身で決めたこと。

 -21年間のスケート人生で一番大事にしている言葉は

 浅田 この決断をしてから、多くの人が温かいメッセージをくれた。だから晴れやかな気持ちで、今、この場にいる。だから感謝という言葉を忘れずに、これからも進んでいきたい。

 -生まれ変わったら

 浅田 26歳までスケートをやって、すべてやりきって、何も悔いはないので、スケートの道は行かないと思う。

 -何をやっているか

 浅田 食べることが大好きなので、ケーキ屋さんとかカフェとか、レストランとかをやっているかなと思う。

 -決めたことはやり通す意志は誰に教わった

 浅田 母かなと思う。こういう性格なので、頑固というのか。普段はそんなことはないが、自分が決めたことについては頑固なつもり。

 -違う世界に進む不安は

 浅田 新たな1歩だと思っている。不安はなく、ただ前にある道を進んで行くだけ。これからも新たな経験をして、元気に前を向いて進んでいきたい。

 -今後は

 浅田 すぐ夏にあるのが「ザ・アイス」なので。選手生活を終えてまず最初に皆さんの前で滑るので、いい演技を出せるように頑張りたい。まだプログラムをつくってない。エキシビションナンバーをつくる。今までのスケート人生を注ぎ込むプログラムをつくっていきたい。

 -スケートをやっている子どもたちにアドバイスを

 浅田 小さい頃から、本当にスケートが大好きで。ただただスケートが大好きでやってきた。スケートを大好きな気持ちを忘れないでねって言ってもいいかなと。私も本当に子どもが大好きなので。以前にもスケート教室をやっていたが、機会があればやりたい。