新生バレーボール男子日本代表の中垣内祐一監督(49)が国際大会の男子ワールドリーグ高崎大会の開幕を翌日に控えた8日、会場の高崎アリーナで各国代表監督とともに会見に出席した。

 世界ランキング14位の日本は9日に同24位トルコ、10日に30位スロベニア、最終日11日に22位韓国と対戦する。

 中垣内監督は昨年11月、広島県の中国自動車道を走行中、工事規制中の警備員の男性をはね、重傷を負わせたとして書類送検されていた。5月に大阪区検が自動車運転処罰法違反(過失傷害)の罪で略式起訴し、大阪簡裁が罰金70万円の略式命令を受けていた。その影響により、中垣内監督の活動には制限があり、今大会はフィリップ・ブラン代行監督(57)という位置付け。

 そうした微妙な状況の中、出場国の代表監督とともに会見に出席した中垣内監督は報道陣の質問に言葉を選びながらも丁寧に応じた。まず、代行監督を置くことになった経緯については「何人かの候補がいたが、彼のコーチスタイルは知っており、是非、強化を手助けしてもらいたいとお願いした。クレバーで、ディフェンスに定評があり、フランス代表監督も12年やっており、ポーランドでも世界選手権で優勝している。チームのディフェンス強化に期待している」と、人選した背景を説明した。

 また、人身事故により代表チームの始動にマイナスの影響が出たことについても「多くの方にご迷惑をおかけし、そして多くの方に支えていただいた。まずは、ご迷惑をおかけした方に謝罪し、支えてくださった方に感謝したい。その上で、こんな表現でいいか迷うが、新しい船出をするにあたり大きなけちをつけたことを申し訳なく思う。今はやるべきことをやって、結果を出したい。友人からは『自分でハードルを上げた』と言われているが、自分でもそう思う。成績を出すことで、(周囲への支えに対して)返していきたい。選手に対しても同じ気持ちです」と言った。

 チームづくりや、メンバー選考などの質問よりも、事故を起こしたことで新生代表チームの始動に混乱が生じたことへの質問も多く飛んだが、予期していたのか、聞かれたことには極力自分の言葉で答えようとしていた。

 チームは代行監督の指導によって少しずつ強化が始まっている。この日、初めてチームに合流した中垣内監督は「選手もブランのやり方に心地よさを感じ出している。邪魔しないようにしたつもり」と、苦しい胸の内をわずかに吐露した。「ブラン監督のやり方を変えるつもりはない。彼の知見は特別なもの」と、全幅の信頼を寄せていることを強調した。

 9日トルコ戦からベンチに入る。「選手が混乱するような指示はしない」と、言った。6日に海外試合の視察から帰国してチームメートと顔を合わせた際には「ありのままを話しました。改めてよろしくお願いしますと伝えた」と、具体的な場面にも踏み込んで答えた。「正直な気持ちとして、練習見て2日目でベンチ入りするのもイレギュラー。これまでの(代行監督体制での始動した)経緯もイレギュラー。ありのままでやっていきたい」と、決意を口にした。非常に難しい局面で中垣内体制が初の国際大会に挑む。