ノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(46=土屋ホーム)が、カーリング女子LS北見の吉田夕梨花(24)に「アピールのススメ」を説いた。16日、札幌市内の東海大札幌キャンパスで、ジャンプ男子の小林潤志郎(27=雪印メグミルク)と3人で公開講座の講師を務めた。冬季オリンピック(五輪)8度出場のレジェンドは平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)で銅メダルを獲得したカーリング人気に嫉妬しつつも、メディアを通してのPRの重要性を伝えた。

 レジェンドがジェラシーを募らせた。今年2月の平昌五輪で活躍したLS北見の吉田と並んで公開講座の場に立った。北見市の祝賀パレードでは約12万人集まり、オフには全国区の人気テレビ番組に連日出演するカーリング女子。スキージャンプ界をけん引する大ベテランの葛西は「最近、人気でカーリングにジャンプが押されている感じがする…」と戦々恐々。そして22歳下の吉田に「(人気出るのは)ほどほどにね」と頼み込んだ。

 これはもちろん冗談で、本心は一緒にウインタースポーツを盛り上げることだ。今回、注目を集めたカーリングだが、4年に1度のスポーツと言われるほど、まだまだ発展途上のマイナー競技。認知度アップには結果を残すことだけではなく、メディア出演も重要な役割になると葛西は考えている。

 実体験を交えて力説した。個人ラージヒル銀メダル、団体銅メダルを獲得した14年ソチ五輪後のオフ、100本以上のテレビ出演や講演をこなした。「テレビや新聞は競技を国民の方に知ってもらい、宣伝できる。練習に支障がない程度でやって良いと思う」。そして、ただの普及活動としてではなく「パワーをもらえるんです」。イベントに登場するとメダルを首から下げ、積極的に観客にタッチさせた。より多くの出会いが競技への成長につながると語った。

 この日、約200人に五輪の裏話を披露した。その話術に「うまくて面白くするのが天才的。教えて欲しい」という吉田には「(LS北見は)何もしなくてもハキハキしてて、笑顔が良いチーム。自然体で大丈夫」と助言を送った。土屋ホームは28日にスロベニア合宿に向けて出発。その後の8月について「北見で合宿したいな。一緒にカーリングをして運気をもらいたい」。冬季五輪の顔が新たな“ライバル”の活躍を楽しみにしている。【西塚祐司】