東京オリンピック(五輪)500日前プロジェクションマッピングイベント「Ready for 2020」が21日、パナソニックセンター東京で開催され、元陸上選手で3度の五輪に出場した為末大氏(40)がゲストとして参加した。

イベントでは、パナソニック株式会社と世界最高峰のライブ・エンタテイメント・スタジオ「MOMENT FACTORY」がコラボし、開発した「高速追従プロジェクションマッピング」が紹介された。野球やサッカー、卓球など球の軌道を追い掛ける技術で、現在ゲームの中で使われているものを、今後スポーツに導入し、新しい楽しみ方を提供していくという。

「テクノロジー×スポーツ」のテーマで行われたトークショーで登壇した為末氏は「野球やサッカーなど既存のスポーツに導入して楽しむやり方だけでなく、映像が入った状態の新しいスポーツが生まれると、次元の違う楽しみ方ができるのでは」と語った。

五輪競技種目にサーフィン、スケートボード、スポーツクライミングなどスタジアムを使わないスポーツが加わった。フットサルやバスケットの3on3など少人数での競技や、狭いスペースでやるスポーツも増え、自身が現役の時と形も変わってきた。

為末氏は「競技者と参加者が別ではなく、陸上の100メートルでみんながアスリートと一緒に走って、順位が出るような新しいスポーツになっていけば」と話した。さらにアスリートへの影響について「テクノロジーがバリアフリー化につながって、オリンピックとパラリンピックをつなぐものになったり、視覚的な影響も大きいので、選手や子どもたちのパフォーマンスが上がっていくのが楽しみ」と今後に期待した。

最後に東京五輪への思いを聞かれた為末氏は「長くタイムを争う世界にいたが、人間の限界を決めているのは実際にはメンタルだと思う。今回テクノロジーが介入することで、全く新しいもっとおもしろいことが起きると期待している」と話した。

イベント後には高速追従プロジェクトの技術を一般向けに公開。訪れた観客は実際に野球で打ったあとの球や、バットの軌道、卓球でラリー中の球の動きなどを追う様子を目の当たりにし、高度な技術に多くの人が驚いていた。

【松熊洋介】